2024年10月14日週:人生で一番怖い思いをしたこと

みなさんこんにちは。やりましたね、先週金曜日被団協がノーベル平和賞を受賞されました。おめでとうございます!戦後11年経った1956年8月に設立されてから、核兵器廃絶や被爆の実相の普及や伝承、被爆者の援護活動を行ってこられたそうですが、その不断の努力を・・という言葉では語りつくせないくらい、一生懸命活動を続けてこられたことが評価されたそうですね。前回私はこのコーナーで、努力というのは気持ちだと思うことを書きましたが、被団協の皆さん方はその気持ちをずっと持ち続けて、持ち続けるだけでなくその気持ちを強くしながら活動を続けてこられた結果が今回の受賞につながったのではないかと拝察します。本当におめでとうございます。これからも核兵器のない世界を創るために活動を続けて行かれることをお祈りしています。
 と、突然ですが、みなさん人生で怖い思いをしたことはありますか?まあ、生きている限りは色々な体験、経験をされると思いますので、怖い思いをすることもあると思います。例えば、深夜の墓場を歩いていて何か得体のしれない光を見たとか、山奥を歩いているときに何か気配を感じて、ふと見ると熊がこちらを見ていたとか、高速道路をバイクで時速200㎞/hで走行中にバランスを崩しそうになったとかいろいろあると思います・・この3つともそうそう経験できないですよね(笑)・・。墓場で光は見たことがありませんが、私も怖い思いをしたことがあります。

 あれは、今から30年くらいでしょうか、当時私は仕事が忙しくてあまり家族サービスをしてあげられないでいました。仕事の性質上、休日でもお客様から呼び出しがあったらすぐに飛んでいかなければなりませんでした。ある時など、子供の運動会の途中に呼び出されて父兄参加競技をほっぽり出して現場に急行したこともあります。そんな私ですが、機会があれば家族たちに楽しい思いをさせてあげたいと思っていました。そんな時、ふとしたことがきっかけで旅行に行くことになりました。旅行と言っても地元の鳥取から車で数時間のところへほんの一泊だけですのでそれほど大げさなものではありません。ちょっとした観光と、和食レストラン(別名、居酒屋・・汗)で美味しい料理と美味しい酒を楽しんで・・結局自分が楽しむのか・・、遊園地に行っただけですが、でも家族たちは喜んでくれました。
 ○敷○観地区というところでは、大人は別として当時小学校低学年と保育園に通っていた二人の子供には面白くもなんともないはずなのですが、嬉しそうにはしゃいでくれました。因みに家内はその地区に興味があったかどうかは別として「きれい」とか「雰囲気がいい」といって喜んでくれました。夜の和食レストラン(別名、居酒屋・・汗)でも、お父さん(私)は美味しい料理と美味しいお酒にとても満足したのですが、家内や子供にとっては高級な料理が出てくるわけでもなく、或いはハンバーグやスパゲティといった見た目が派手で子供が好きそうな料理は出てきませんのでつまらなかったかもしれませんが、それでも嬉しそうにしてくれました。ただ、翌日の遊園地では本当に心底、心の底から楽しんでくれました。ある意味、子供たちはそのために我慢してくれていたのかもしれません。

 遊びに行った鷲○山ハ○ラ○ドという遊園地には色々な乗り物がありました。どこの遊園地にも必ずあるジェットコースターをはじめ、ペダルをこいでレールの上を走る乗り物(名前はわかりません)や速度はゆっくりですが、上と下がひっくり返ったりする乗り物(これも名前はわかりません)に乗って楽しんでいました。子供たちも大はしゃぎで「今度はこれに乗りたい」と指さしたのは、ターボ△□◆○というものでした。鉄塔のようなものが立ててあって、そこに輪っか状に椅子が備え付けたものがありました。どうやらその椅子が鉄塔の上から下を行ったり来たりするというものらしいのです。私はパッと見てみて「ちょっとこの鉄塔高いな」と思いましたが、ジェットコースターとかの絶叫系は、得意ではありませんが苦手でもありませんので「ヨシ乗ろう」と乗ってみることにしました。
 その鉄塔は地上60mあるそうで、遊園地は海抜200mのところにありますので、海からの高さは260mになります。まあ、それでもジェットコースターのように体を包んでくれる椅子と肩から覆いかぶさってくる安全ガードがあるから大丈夫だろうと勝手に思い込んで座席のところに行きました。するとそこにあったのは、駅の待合室にあるような、一人ずつに分かれているプラスチックのようなビニールのような素材の、まあ言ってみるとちゃちな椅子と、ひじ掛けと思われる部分に左右に、これもちゃちなチェーンを渡しただけのシートでした。「あれ?体を包んでくれる椅子と安全ガードが無いな」と、少しだけドキドキしました。でも「今までこれでやってこられたんだから大丈夫なんだろう」と心を決めてその遊具に乗りました。子供たちが、はしゃいで嬉しそうだったのは言うまでもありません。
 いよいよスタートです。ゆっくりと椅子が上がっていきます。地上にいる家内がどんどん小さくなっていきます。地上なん十メートルですから当然ですが、高いです。するとその時です。急に椅子が下に落ちていきました。実際には落ちているわけではなく鉄塔に沿って上下している、その下に向かっているだけなのですが、自由落下のようにスーッと落ちていきましたので落ちた感覚になったのだと思います。
 ・・・これだけでも十分にスリルを味わうことが出来ましたが、本当の恐怖はここからでした。私の左右の椅子に座っていた子供たちは、それまで私の手を握っていただけだったのですが、椅子が落ちるとともに、「お父さん怖い!」と両側から私の腕にしがみついてきました。しがみつくということは、子供たちは自分の椅子とお父さん(私)の椅子が離れていることは考えないで・・まあ、当然ですが・・私の腕にしがみついてくるわけですから、自然に体が前のめりになります。わかってもらえますかね・・・、私も子供たちもまっすぐに座っていたのが、二人がかりで私を椅子の前方に押し出そうとするわけです。もちろん、椅子だけですから足場もありません。小さいとはいえ子供二人が同時に来るわけですから結構な力です。それと、椅子がちゃちなのはまだいいとして、その椅子が微妙に背中と反対側、正面側に傾いているのです。しかも、くどいようですが安全ガードではなく、ちゃちなチェーンがだらんと垂れ下がっているだけの安全装置です。
 ・・・怖かったです。無茶苦茶怖かったです。本当に怖かったです。死の恐怖を覚えました。私だけでなく、乗っていた子供たち二人と私の三人の死の恐怖です。今思い出してもお尻のあたりがゾゾッとするくらい怖かったです。その恐怖がおさまったのは上下動が終わってスルスルと地上についた後でした。いや、地上についてもしばらくは怖くて怖くて生きた心地がしませんでした。
 子供たちは、はしゃぎながら「怖かったねお父さん」「怖かったよお母さん」と口々に言っています。それを見て私は「そんなんじゃない、そんなレベルじゃない。本当に怖かったんだー!!」と叫びたかったのですが、「子供たちに分かるはずがない」と家内にだけそのことを伝えました。すると家内は「へぇーこわかったねー」でした・・・。ちょっと悲しかったです。一生懸命子供たちの命を守ったのに。

 「人生で一番」などというと大げさに感じられるかもしれませんが、これが、正真正銘、掛け値なしに私の人生で一番怖いと思ったことでした。みなさんにも人生で一番怖かったことというのがあると思います。え、ないって・・・いえいえ、思いだしてみてください。必ずあると思います。例え、今なくてももう少し歳をとったら「あ、あの時は・・・」というのが出てくると思います。その、あなたにとっての「あの時」のことを思うと今現在こうやって自分がいるのは幸せなことなんだなと感じられると思います。うんうん(笑顔)。

 はい、今回は思い出すのも怖くてたまらない、一番怖い思いをしたことについて書いてみました。それでは次回も乞うご期待です。さようなら。
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