みなさんこんにちは。すっかり季節は冬になりましたね。少し前のこのコーナーで「日本の季節は春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)の四季ではなく、夏夏冬冬(かっかとうとう)の二季になってしまった」と書いたことがありますが、本当にそうですよね。9月はまだまだ夏真っ盛りでしたし、10月でも夏日は当たり前で東京では真夏日を超えた日もありましたし、なんと11月に入っても真夏日の気温30度を超えるところもあったようです。そんな二季の日本ですが、最近やっと涼しくなってきましたね。・・・涼しくなったと思ったらアッという間に冬になってしまいました。羽毛布団や、あったかい毛布がないと寒くて寝られませんし、ストーブがないととてもじゃないですが我慢が出来ません。やっぱり季節は冬です。
冬と言えば、魚たちが美味しいですよね。色々ありますが、ハタハタ、美味しいですよね。あとは赤ガレイ、肉厚の身を煮付にしたら本当に美味しいですよね。あとはババア(上品な方はババちゃんと言っています)を鍋にしたら美味しいですし、鍋と言えば定番のタラも良いですね。でも、鳥取の冬の味覚と言えば、なんと言ってもカニ、松葉ガニですよね。これは、最高に美味しいですよね。ということで、今回は松葉ガニについて書いてみたいと思います。今回は網代港の漁業関係者の方、ウィキペディアさんに情報をいただきました。あ、私の実体験も交えています。
松葉ガニって、何でしょう・・・。と、禅問答のようになっていますが、私も含めこのコラムを読んでくださっているみなさんも松葉ガニは見たことも食べたこともあると思いますので、「何でしょう」と言われても困ってしまいますよね。ただ、松葉ガニの生態とか、どうやって獲るんだろうとか、松葉ガニと同じような格好をしたカニもあるがこれはどうなんだろう・・・とか色々な知らないことがあると思います。そのことを知ったうえで松葉ガニを食べたら美味しさも格別になると思いますので、松葉ガニって何でしょうなのです。ということで、松葉ガニについて一緒に勉強しましょう。
松葉ガニというのは、ズワイガニのことです。本ズワイガニと言われることもありますが、これは結構有名なベニズワイガニとの比較というか分かり難いため、「本」を付けたりします。因みに、後で書きますが松葉ガニ(ズワイガニ)とベニズワイガニは違うものです。見た目、形はよく似ていますが全然違うものです。味も香りもです。
ズワイガニが生息しているのは、50m以上の深海、場合によっては1,000m以上の深海に生息しているそうです。場所はご存じ鳥取県沖合の日本海やもっと北のオホーツク海やベーリング海にも生息しているそうです。ただ、私たちに馴染みのあるズワイガニ、松葉ガニは鳥取県の沖合〇〇㎞(正確な距離はウフフです)の日本海の水深200mから600mくらいの場所に住んでいます。うちの生け簀もそうですが、水温は2度とか3度くらいがお好みのようで、このくらいだと結構元気で長生きしてくれます。
何を食べているか・・・って、そんなこと知りませんよね。水槽で活かしておくと、何もエサは与えていないのに1か月くらいは平気でピンピンしています。松葉ガニというのは、雑食性で貝類やゴカイ等の多毛類などを食べたり、海底に落ちた魚介類やクジラなどの屍骸を食べたりしているそうです。そして、どうかすると自分自身の殻も食べるそうです。だから、水槽で活かしておいても長い間元気なんですね(納得)。
ところでみなさん、カニと言えば松葉ガニだけでなく越前ガニ、加能ガニもご存じですよね。あれもズワイガニ、本ズワイガニですから松葉ガニと全く同じ種類のカニです。水揚げされた漁港の場所によって、福井県で獲れたら越前ガニ、石川県で獲れたら加能ガニと呼ばれています。ただ、松葉ガニだけは鳥取県で水揚げされても島根県で水揚げされても兵庫県(南側ではなく芝山港とかの北側です)で水揚げされても松葉ガニです。だから松葉ガニはズワイガニの中で漁獲高が一番多いんですね。逆に越前ガニは福井県だけのものですので獲れ高が少なくて希少価値が上がるということですね。うーん、同じ種類のカニで見た目も味も同じなんだけどな・・・。
ではベニズワイガニはどうでしょうか。これもみなさんご存じだと思います。見た目というか甲羅の形から親指、その他の指までそっくりです。目をピンと上に向けて立てている様子は知らない人であれば松葉ガニ(ズワイガニ)と間違えてしまうと思います。でもこのカニはズワイガニとは別物なんですよね。学名は「C. japonicus Rathbun(ジャポニカス ラスバン)」というものでメアリー・ラスバンと言う方が発見したそうです。因みに、松葉ガニ(ズワイガニ)は「C. opilio(オピリオ)」というものです・・・学名だけだとベニズワイガニもズワイガニも何が何だかわかりませんね。でもまあ、別物ということです。
私は松葉ガニ(ズワイガニ)、ベニズワイガニの両方を食べたことがありますが、これは全くの別物だと思います。形は同じでも色が違います。ズワイガニの生は少し茶色っぽい感じがします。茹でたら物凄くきれいなオレンジっぽい色になりますが、生は茶色っぽいです。ところが、ベニズワイガニは生の時から赤いです。わかりやすいのが甲羅の反対側、お腹側がズワイガニは肌色っぽい白ですが、ベニズワイガニはピンク色っぽいような赤色です。味も違うと思います。ズワイガニは濃厚なカニの風味とぎゅっとしまった繊維の集まりという感じの口に含んだ感触と瑞々しいのに噛み応えがあるあの独特の食感がまさに「松葉ガニ」です。一方、ベニズワイガニは・・あくまで個人的な感覚ですが・・松葉ガニとは異なる独特の風味で、松葉ガニと比較すると少々物足りなさを感じる噛み応えだと思います。まあでもこれも食べられる方お一人おひとりの好みの問題ですので、その方が美味しければそれで良いのではないかと思います。私は個人的には松葉ガニのほうが好きだなと言うことだけです、はい。
松葉ガニってなんで美味しいのでしょうか。・・・ってこれも訳のわからない質問ですよね。美味しさに「なんで?」は必要ないと思うのですが、まあ、書き始めましたので書いてみます。さっきも書きましたが、やっぱり濃厚なカニの風味でしょうかね。口に入れた途端、口中にフワッと広がるカニの香り、たまらないですよね。あと、カニカマを創る時のヒントになったという縦にびっしり並んだ身の繊維、あれが何ともたまらない食感を醸しだすのでしょうね。細かいところでは、身の優しい甘さ、塩味の効いたミソの旨味、ミソと言えば、ミソの残りがある甲羅のお汁も酒で薄めて飲んだらもう最高ですよね。フグのひれ酒にも後れを取らない美味しさだと思います。あと、茹でた松葉ガニを食べた後のガラで出汁を取って雑炊にしても美味しですよね。カニを食べた後のガラ出汁雑炊と言うのはあまり知られていないようで、みなさん、カニを食べたら「あー美味しかった。さあ片付けよう」とガラは捨ててしまうと思うのですが、このガラは捨てないで出汁を取るととても良いカニの出汁が取れるのです。この出汁で雑炊をするとこれまた絶品です。出汁でご飯をコトコト煮た後に溶き卵を回し落としたら色目も最高の美味しい雑炊が出来上がります。あ、このカニ雑炊用のセットは当店(澤鮮魚)のサイトでも販売しています。カニだけでなくお米1㎏と雑炊用の自家製タレも付いています・・宣伝してしまいました:汗・・。と言うことで松葉ガニって本当に美味しいですいよね。
そうそう、美味しい松葉ガニですが、エラの部分(ガニとも言われているそうです)は食べてはいけません。まあ、食感も気持ち悪くて食べる人はいないと思いますが、あそこ自体は毒を持っているということではないのですが、あそこには腸炎ビブリオ菌がいる可能性があるそうです。「熱処理をすれば大丈夫かも」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、君子危うき近寄らずで食べないほうが良いと思います。あと、美味しいおいしい松葉ガニですが、食べるのは少し大変ですよね。何せカニを食べるとみなさん必ず無口になるというほど集中しないと食べられませんので。まあ、集中してしまうほど美味しいということになるとは思うのですが・・・。
と、気が付くとこんなに書いてしまっていました。最近また調子にのって長く書いてしまう傾向がありますのでもうやめておきます。でも最後に一言。みなさん、松葉ガニは美味しいですよ。「でも高いでしょ」と言われる方のために、当店では『松葉ガニ 訳あり・おまかせ・お楽しみセット』と言うのを開発しました。値段は書きませんが、安い!と思います。美味しい松葉ガニを少しでも安く食卓にお届けしたいと思います!・・あ、また宣伝してしまった・・汗
それでは次回も乞うご期待です。さようなら。