2024年9月2日週:底引き網漁

 みなさんこんにちは。

 

 台風10号は全国各地で大変でしたね。何が大変って、勢力というかパワーというか、一時は930hp(ヘクトパスカル)まで下がって物凄い風を吹かせていました。猛烈な風(竜巻も発生したという話もありますが・・)で、北九州のほうでは家1軒が全壊になったり、佐賀県では風でカーブミラーが根元から折れたり、九州のそこここで気が倒れたりと大変だったようですね。風だけでなく雨も大変でしたね。台風の中心は九州にあるのに、なぜか静岡や神奈川や東京、それどころか北海道でも大雨が降って大変だったそうですね。それと、なぜか徳島県では「雨のため」に民家の2階が崩れてお年寄りの方が被害に遭われていました。全国各地では6人の方が亡くなられて126人の方がけがをされたそうです。亡くなられた方のご冥福をお祈りしますとともに、けがをされた方、被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

 と、もう台風は過ぎ去ってしまって終わったように書いていますが、これを書いている今現在(91()1330)でも、台風10号としては無くなりましたが、熱帯性低気圧に呼び名が変わって風速が若干落ちた程度で、まだまだ雨を降らせるパワーやそこそこの風を吹かせるパワーは持っているようです。進路に想定されている地域のみなさま、どうぞお気をつけください。

 本日91日は日本海側の底引き網漁の解禁日です。いつもなら前日の831日は網代港で出港際が催され、小学生の鼓笛隊が演奏する音楽や婦人会の踊りで賑やかに解禁、今期の底引き網漁の始まりをお祝いするのですが、今年は台風のためにそれもなし。漁師さんは寂しいでしょうね。3か月の休漁期間を終えてやっと漁ができると思ったらいつもの賑やかな催しは無しって・・・。

 ということで、今回は台風のことではなく底引き網漁について書いてみたいと思います・・と言っても、私は漁師さんではありませんので、底引き網漁の専門的なことはわかりません。一般的なことと、私たち仲卸業者・・というよりも陸(おか)で待っている側から見た底引き網漁について書いてみたいと思います。

 

 

 底引き網漁とは何かについても念のため書いておきますね。底引き網漁というのは読んで字のごとし、船が網を海の底に垂らして、それを引っ張りながら海底付近にいる魚やカニを獲る漁のことです。と、これだけではあまりイメージできないかもしれませんので、ググってそれっぽい説明を持って聞きました。「底引網漁業trawl fisheryとは、円筒形あるいは円錐形の袋、さらにはこれに両翼をつけた網を、引綱をつけて水中を水平方向に引き対象生物を囊(ふくろ)網の中に集めて漁獲する漁具を引網類という」(コトバンクより)だそうです。・・・それほどわかりやすいということではないですね。まあ、そういうことです()

 

 漁師さんたちは、船長(船頭の場合もあり)さんと10数人の乗組員の方で1隻の漁船に乗り込んで漁に出て行かれます。数日間・・短ければ12日、長くても1週間はありません・・数日間海の上で漁をして帰ってこられます。この日数は天候や魚の獲れ具合によっても変わるそうですが、まあ日数的にはこれくらいだそうです。漁に出て網を上げる時は獲れた魚を市場に出せる状態にするまでは夜中の何時であろうと作業をするそうです。一度だけ漁船に乗せてもらったことがあるのですが、船の下のほうには船室というのでしょうか、各船員さんのベッドが設置されているエリアがありました。よくテレビで見かけますが、蚕棚(かいこだな)・・って、これを知っている人は相当なお年寄りか昭和初期の時代を勉強した方だと思います・・のように人一人が横になれる板を上下の隙間が50㎝もない状態で何段にも重ねたベッドがありました。ベッドがあっても漁がある時は寝られないそうです。大変ですね。

 

 漁は、船尾から垂らした大きな網の袋につながっている綱を、これまた大きな電線ドラムのようなもので巻き取っていき、網の最後の袋が上がってきたら、その中にいる色々なものを選り分け・・ゴミや商品にならないものも入っているそうです・・商品としての魚を選別して市場に出せるように氷を入れた発泡スチロールの箱に入れていくそうです。それを海の上でやるわけですから大変だと思います。風もあれば波もあります。本当に大変な作業だと思います。ちょっと話はそれますが、網代港に所属する漁船のある船長(船頭)さんと会話した時のことです。「15メートルも風が吹いたら船は壊れませんか?」()、「なんの、船は何ともない。ただ、人がダメだ」(船長(船頭)さん)と鳥取弁の漁師言葉で教えてくれました。どういうことかというと、強風が吹いても壊れるどころか、船をきちんと操れば航行もできるが、乗組員が立っていられない、作業ができないということだそうです。ですので、15メートルは無理でも多少の雨や風だと漁に行かれるそうです。冬場の寒い日に雪や風が吹いている日でも漁をされている漁師さんには本当に頭が下がります。

 

 網代港に所属する底引き網漁船が獲ってくる魚は、漁期が決まっていますがやはりカニです、松葉ガニ。やっぱり松葉ガニはカニの王様ですね。そして、若松葉ガニ、親ガニ(セコガニ)なんかもありますね。セコガニの内子(うちこ、タマゴではなく卵巣)は絶品ですね。あとは、これも時期によりますが赤ガレイ、はた(ハタハタ)、両方とも煮付けにしたら最高ですね。刺身で食べたらあまりの美味しさに言葉を失ってしまう赤エビ(甘エビ)、モサエビ(正式名称はクロザコエビというそうですが、鳥取ではモサエビです)、あとはタコ、ビンダコ(耳イカ)、タラ、イテ(エテ)ガレイ、ヤマガレイ、ババア(ババちゃん)とかですかね。大きな鯛なんかも取ってきてくれますね。貝もあります。白バイ、赤バイ・・お巡りさんではないですよ。これらは巻貝で実がプリプリしていて刺身で食べても煮付で食べても美味しいです。あまり都会の人は食べませんが、バイの肝(貝の身ではなく内臓の部分)を甘辛く煮て食べたらほっぺたが落っこちそうです。と、書いているうちによだれがこぼれてきました。お腹も減ってきてしまいましたので、このあたりでやめておきます。

 これから今季の底引き網漁が始まります。漁師さんが獲ってきてくれるカニや魚やエビたちを美味しくいただきましょう。あ、そうそう、漁師さん、くれぐれもご安全に。

 

 はい、今回は底引き網漁について書いてみました。それでは次回も乞うご期待です。さようなら。
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