2025年4月14日週:ある田舎の総合病院・・なんだかな~

 みなさんこんにちは。今回は久しぶりにAさんに聞いた話です。私自身はよくわかりませんが、Aさんから言わせると「なんだかな~」という感じだったそうです。では始めます。

 Aさんにはちょっとした持病があり結構若い時から薬を飲んでいました。それほどひどい状態ではなかったため薬といっても効き目は軽めのものだったそうです。でもその持病は気を抜くと大きな病気につながるため薬は毎日欠かしたことがなかったそうです。そんなある日、かかりつけの診療所の先生が入院することになってしまいました。ということは、いつものように先生のふつうの診察だけで薬を処方してもらう、まあ言ってみれば「いつもの薬をください(処方してください)」が出来なくなってしまいました。それでもAさんは何か良い手がないかとその診療所を訪ね看護師さんに聞いてみました。すると、「すみません、先生はあと1か月ほどで退院すると思うんです。それまで薬は〇〇病院でもらってきてください。お薬手帳を持って行ってもらえば良いと思いますので」とのことだったそうです。「まあ、かかりつけ診療所の看護師さんがそう言うのだからそうしよう」とお薬手帳を持って○○病院という田舎の総合病院に行ったそうです。

 Aさんが都会で暮らしていた時には、都会の総合病院で定期的に診察、処方をしてもらっていたそうで、総合病院の外来受付、窓口受付、診察、会計・・という時間をかけた半日がかりの病院修行はそれほど苦にはならなかったそうです。でも、田舎に戻ってからは慢性疾患の薬をもらうためだけに多くの時間をかけるのは、とても勿体なく、待ち時間も苦痛に感じていたそうです。そのため、かかりつけ医でお薬をもらうことが出来るのはとてもありがたかったそうです。
 Aさんが病院に着くと都会の総合病院と同じく受付に行って初診受付をしました。受付の事務担当の方から「今日はどうされました?」の質問に「かかりつけの診療所の先生が・・・」と、事情を話して内科の受付に行ったそうです。その内科受付でも、「今日はどうされました?」と看護師さんから同じ質問をされ、初診受付と同じように「かかりつけの診療所の先生が・・・」と説明をしたそうです(Aさんは「同じことを何度も言わせるんだ」と思ったそうです)。一通りの問診を終えたあと、看護師さんから「では内科受付前の待合椅子でお待ちください」と言われたそうです。
 Aさんからの「どれくらいで診てもらえますか?」に対して看護師さんは「1時間くらいだと思います」とのことだったそうです。それを聞いたAさんは、え?1時間?初診で1時間だったら遅くないよね(Aさんの心の声)と、「はい、分かりました」と内科受付の看護師さんに返事をしたそうです。因みに、この時点で時間は午前10時30分くらいだったそうです。
 それからAさんは、タブレットにダウンロードした新聞を読んだり、廊下待合の前に設置されているテレビのNHK番組を観たりして待っていました。待っている間にも「ひょっとして・・」と思い、ピンポーン!と音がするたびに診察順を表示する掲示板に目をやっていました。それほど多くの患者さんが待っているわけではないのですが、なかなか廊下の待合で待っている患者さんの数が減っていきません。「まあ、こんなもんか・・」と少し諦め気味にまた下を向いて新聞を読んでいたそうです。
 しばらくして・・11時40分を過ぎた頃でしょうか、廊下の待合で待っている患者さんが2人くらいになってきた時です・・、ピンポーン!の音で掲示板に目をやるとAさんの受付番号とは違う番号が表示されました。「うーん・・1時間経ったけど、まあ、まだなんだろうな」と、がっかりしそうな気持を、わざと忘れるようにしてまた新聞を読んでいました。それからピンポーン!が鳴るたびにAさんは新聞から目を上げて掲示板を見たり、辺りを見たりしていたそうです。もう待ちくたびれて飽きてきたのでしょうね。
 そうこうしていると、内科受付の看護師さんがAさんの近くで待っていた少し小柄なおばあさんに「もう少しですからね、大丈夫ですか?」と優しく声をかけていました。その少し小柄なお婆さんはそれから程なくして処置室に呼ばれて入っていきました。そのお婆さんが処置室に入っていったら内科受付の前には髪の短いおばあさんとAさんだけになっていました。そしてその最後に残った髪の短いおばあさんが内科の中待合に呼ばれて行ったときに、ふと見るとそのお婆さんはAさんのご近所さんであることに気が付いたそうです。そこでAさんは中待合に近づいて行って「あ、〇〇さん、一人ですか?じゃあ私の車で一緒に帰りましょう」と声をかけたそうです。田舎の公共交通手段は路線バスしかなく、しかも1時間に1本、どうかすると2時間に1本と、クルマを運転しない方、特にお年寄りには優しくないのです。Aさんのご近所さんの髪の短いお婆さんは「ありがとう、バスが出てしまってどうしようかと思っていたところだった」と喜んでくれたそうです。
 Aさんはそれからも辛抱強く待っていたそうです。そうすると、さっきの小柄なお婆さんが処置室から戻ってきたそうで、そのお婆さんにまた同じ看護師さんが「もう少しですからね」と声をかけたそうです。声をかけて内科受付に戻ろうとAさんの前を通り過ぎた看護師さんが、思い出したようにAさんにも「もう少しですからね」と声をかけたそうです。本当に、「ついでに」というか思い出したようにという感じで。その瞬間Aさんは、なぜか少しイラっとしたそうです。Aさんの話し方からすると、Aさんはどうやらこんな感情だったらしいです。「なにそれ!今まで一言も、何も声掛けなどしなかったくせに、お年寄りに声をかけた時にちらっと見たらもうひとり待ってたから、『ついでに一声かけとくか!』ということ?なんだかなー」と。
 とは言うものの、せっかく声をかけてくれたのだから何か会話しようと「いえ。あと何人くらいですか?」と聞くと「あと何人か、います」と返って来たそうです。それを聞いたAさんは一瞬考えてからこう言ったそうです。「そうですか、じゃあもういいです。帰ります。お薬手帳を返してください」。それを聞いた看護師さんは、悪びれたそぶりも見せず、でも口だけは「申し訳ありません。お薬は大丈夫ですか?」と言ったそうです。Aさんは、本当は薬が無くて困っていたそうですが、「大丈夫ではありませんが帰ります」と言って、ご近所さんの髪の短いお婆さんに「お待たせしました」と言って帰って行ったそうです。

 Aさんは、多分ですが、短気を起こして「帰ります」と言ったのではないと思うのです。多少は「なんだかな~」と思っていたかもしれませんがそれだけではないと思うのです。Aさん自身も待ちくたびれたこともあると思いますし、看護師さんのいい加減な対応に「え!?」となったこともあると思います。でもそれだけで「もう帰ろ!」と思ったのではなく、Aさんはご近所のお婆さんに「もう少しだと思うから待っていてください」と言ったこともあってこれ以上長くなってはご近所のお婆さんを待たせて申し訳ないと思ったのではないかと思います。Aさんは結構気を遣う性質のようで自分のために人を待たせるのは申し訳ないと思う人のようなのです(じゃあ、ご近所さんがいなかったら辛抱強く待っているかって?・・さあそれは分かりません(笑))。でもまあいずれにしても、この病院のやり方、外来患者への対応はよろしくないような気がします。
 その病院の経営母体は公の機関です。で、運営をその自治体が担っているそうです。言ってみると県立、市立の病院と同じだと思います。ということはつまり、その病院はAさんたち市民、住民のもの(住民のためのもの、住民の健康保持、増進のためのもの)ということになります。その公の病院がこんな感じだとAさんが「なんだかな~」と思うのも無理からぬことなのではないかと思います。
 患者一人の診察に20分以上もかけて、患者が診察室から出てもなかなか次の患者を呼び込まないし、看護師さんは大勢いても忙しそうにしているのは一人か二人で他は何をやっているかよくわからないし・・・あ、これはAさんというより待合室に待っていたお年寄りの声です・・・。まあとにかく、Aさんは「なんだかな~」と思ったそうです。

 Aさんは管理している自治体にクレームというか意見を言おうとしていたそうですがやめたそうです。どうせ言っても変わらないだろうし、下手なことを言うと「カスハラだ!」とか言われてもとんでもないですので。でも私はAさんの気持ちがとてもよくわかります。みなさんはいかがですか?

 はい、今回は少し長くなってしまいましたが、Aさんから聞いた田舎の総合病院のお話でした。
 それでは次回も乞うご期待です。さようなら

 

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