みなさんこんにちは。ゴールデンウイークに入りましたね、といっても今年は微妙な飛び石状態で前半と後半に分かれた感じで、今は後半真っ只中という感じですが。まあとにかく連休に入って身も心もウキウキという感じでしょうか。天気も良いですので皆さんしっかりとリフレッシュをしてください。
ということで今回は、季節、天候とは全く関係ありませんが、新聞のインタビュー記事で少し気になることがありましたので、そのこと・・・タイトルにあるようにサービスについてです・・・について書いてみたいと思います。このインタビュー記事は日経新聞の「直言」というタイトルの特集記事で、「世界の政治・経済・文化の著名人から新興国の論客やスタートアップの経営者まで様々なジャンル、年代の方に独自の視点や本音を語ってもらう大型インタビュー企画」だそうです。今回私が気になったのは、3月16日(日)朝刊(・・日曜日は朝刊しかありませんが・・)に載っていた、日本生産性本部会長(キッコーマン取締役名誉会長)の茂木友三郎さんの記事です。
気になる記事を見る前に、みなさん「サービス」って何だと思いますか?・・・突然言われるとパッとは出てきませんよね。サービスと聞いてまず頭に思い浮かぶのが、多分私だけでなくみなさんそうだと思うのですが、「只(ただ)で何かをしてくれること」ですよね。うーんそうでなければ「おまけ」的な何かでしょうか。例えば、八百屋さんに行って大きなキャベツを3個買ったとします。それが結構高くて1個400円だとします。そうするとその八百屋のおじさんが「キャベツを三個も買ってくれてありがとう、モヤシをサービスで付けとくから」とか、クルマのディーラーで修理をしてもらったときに「サービスで洗車しておきましたから」とか、お総菜屋さんでコロッケを10個買ったときに「もう1個はサービスしとくから」と言って10個のところを11個にしてくれたりと色々あると思うのですが、どれもやっぱりお客さんにとってはお金を払わないもの、つまりただのものですよね。
ここで改めて「サービス」とはどういうものなのか、どう定義されているのかについて考えてみたいと思います。いつものようちょっとググってみました。
「サービスあるいは用役、役務とは、経済活動において、売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財を指す経済学の用語である。第三次産業が取り扱う商品である。また、サービスの概念に含まれる公共サービスは社会(国家、自治体や組合)がその費用を負担する役務のことである。資源やスキル、創意、経験などを活かし、提供者が消費者、市民などに提供する」(ウィキペディアより)
ということです。用役とか役務とかいう言葉が入ってくるとややこしくなるためここでは、この説明はサービスに対する説明として話を進めますね。この説明だとサービスというのは「モノが残らず、‟効用“や‟満足”などを提供する、形のない」ものということですね。つまり、それをされたときに相手が何かの効果があったり、満足感を得られるというものということになると思います。あと面白いのは「第三次産業が取り扱う商品」というところです。学校で習ったと思いますのでみなさんご存じの通りだと思いますが、第一次産業というのは農林水産業、つまり自然を相手にしている仕事、自然から恵みを頂いている仕事で、第二次産業というのは工業、つまり材料になる何かを加工してそれを売ってお金を戴く仕事です。そして第三次産業というのは、定義上はまさしくサービス業です。ちょっと列挙してみますと以下のような感じです。
「電気・ガス・熱供給・水道業」「情報通信業」「運輸業、郵便業」「卸売業、小売業」「金融業、保険業」「不動産業、物品賃貸業」「学術研究、専門・技術サービス業」「宿泊業、飲食サービス業」
サービス業というのは結構ありますね。・・・あれ?ちょっと待ってくださいね。先ほどの定義の中に「売買した後にモノが残らず」と書かれていました。でも、電気やガスはモノとしては残りませんが、「電気」や「ガス」として利用するモノですし、情報通信にしても「データ」という立派なモノが主体でサービスを提供していますよね。・・・ま、屁理屈のようなことはやめましょう。いずれにしてもサービスというのは、サービスを提供する相手に対して効用や満足を与えるというものということです。
サービスについて分かりました。ではここからは今回私が引っ掛かった、茂木友三郎さんの記事を見てみましょう。そうそう、著作権の関係で記事だけをそのまま載せることはできませんので、その内容を私なりに咀嚼して解釈してお届けしますね。
まず最初に、茂木さんはインタビュアから「なぜ日本で労働生産性が高まらないのか」という質問について以下のように言っています。
従来とは異なり現在は国内総生産(GDP)や雇用の7割をサービス業が占めること、サービス業は労働集約型で自動化が難しいこと、日本のサービス業の生産性は20年に日米欧21カ国中15位で、11位の製造業と比べても低ことを回答したうえで、これに加えて「日本人は欧米と違ってサービスはタダという意識が根強く質が高いサービスを提供しているのに適切な対価が支払われず、健全な成長ができていない」そのことが日本の生産性が高まらない理由だと回答されています。他にも付加価値を増やすことが必要であること、買い手が気付かなかった価値を提供することで買い手の欲しいという気持ちを引き出さなければならないと回答されています。
次に「日本企業は長年、価格競争を続けてきた」ことに対する意見が求められ以下のように回答しています。
価格競争は最後の手段であり、避けるべきであること、品質や特徴など価格以外で勝負しなければならないということ、そして、価格競争は自ら努力して創った付加価値を一瞬で壊してしまうということを言っています。そして一つの例として、ダイエーが目指した『価格破壊』というのは、流通過程の無駄を排してコストと価格を下げて還元する考えが根底にあり、これはこれで消費者目線では素晴らしいものだったが、効率化が進んでも日本は安く売ることだけが独り歩きし価格競争が続いたのは残念だと言っています。
上記以外にも、記事にはキッコーマンの需要の生み出し方や賃上げ(2025年春季労働交渉で満額回答の企業が多い)と生産性向上の関係についての質問回答が載っていましたが今回そこは割愛します。
茂木さんは日本の生産性が高くならない理由の一つとして、「日本人は、サービスはタダという意識が根強く質が高いサービスを提供しているのに適切な対価が支払われず、健全な成長ができていない」と言っています。奇しくも私が先に書いたサービスのイメージそのままのことが言われています。サービスは只、サービスには価値がないと考えられているからサービス提供したことには対価は不要、つまりサービスを提供することは経済活動ではないということにもなってしまいます。実際にサービスを提供する行為だけではなく、サービスを提供するためにはそのサービスの質を高めるために色々と考えたり準備したりすることが必要になってきますが、それらに対する対価がなしというのは、じゃあサービスって何だろうと思ってしまいます。
ここで少しだけ話が逸れます・・と言っても本筋は変わりません・・。2021年の東京オリンピックの時に滝川クリステルさんが「お・も・て・な・し」と日本ではおもてなしの精神で東京オリンピックを運営する、ようなことをプレゼンされていましたが、ひょっとして多くの日本人の方は、サービスというのはおもてなし精神の上で成り立っていると考えていらっしゃるのでしょうか?・・・ってそんなことはないですよね。
おもてなしというのは、例えば「友遠方より来る」というときに、「遠いところをよく来てくれた、何もないけど地物の刺身だ。食べてくれ」とか「うちはご馳走は出せないけれど、農家だから米だけはたくさんあるからご飯を腹いっぱい食べてくれ」ということだと思うのです。相手をもてなすということとサービスは全然違うと思うのです。
・・・え?誰もそんなことは言ってないって?はい。そうですよね。でも、私が最初に感じたように、茂木さんも指摘しているようにサービスは只という考え方は捨てなければいけないと思います。欧米のようにホテルの客室係の方にチップを何て言うことまでは文化風習の違いもありますし、そこまでは必要ないかもしれませんが、ホテルで気持ちよく滞在できるようにシワひとつなくシーツを敷いてくれたりしてるわけですから「サービス料10%ってなんだ!!」なんて言わないで、サービスに対して対価を支払うのは当然と考えましょう。サービスを提供することも立派な経済活動だと考えましょう。サービスは只ではないんですから。
はい、今回はなぜかサービスは只ではないということに過剰に反応してしまった私でした。それでは次回も乞うご期待です。さようなら