2024年11月11日週:来た道行く道

みなさんこんにちは。ついに決まりましたね、アメリカの大統領。最後の最後まで接戦が続いて投票終了後もなかなか結果が出ませんでしたがようやく決まりましたね。当選したトランプさん、おめでとうございます。アメリカだけでなく世界のために頑張っていただけたらと思います。できることなら、前回のように内向きな政治だけでなく、世界に目を向けた政治をやっていただけたらと思います。
 アメリカの大統領は決まりましたが、日本の新しい総理大臣はどうなるのでしょうね。このコラムを発信したのは11月10日ですので、翌11月11日(月)に開かれる特別国会で決まる次の総理大臣が誰かはわからないで書いています。テレビや新聞を見ると今回大躍進した国民民主党の方々は決選投票になっても玉木さんの名を書くそうですので、それが本当であれば決選投票で自民党の石破さんが勝利すると思います。そうすると、石破さんが第102代内閣総理大臣ということになるのでしょうかね。恐らくそうなのだと思います。石破さんは10月の自民党総裁選後総理大臣に指名されてすぐに衆議院を解散してしまったためまだ何も結果が出ていませんが、102代内閣総理大臣になられたら、少数与党という手かせ足かせがある中ではありますが、思う存分その手腕を発揮していただいて、日本のために世界のために頑張っていただけたらと思います・・あ、私は石破さんのファンとかそういうことではなく、一人の日本国民としての思いを書いただけですので、はい・・。

 と、今回は政治の話をしたいのではありません。今回は私の知り合いのAさんから受けた相談の事を書きたいと思います。
 Aさんは私と同じ年代です。ご家族は、昭和ほぼ一桁生まれのお母さん、奥さん、二人の子供さんです。お母さんは歩いてすぐのところにある実家で一人暮らし、子供さんは二人とも独立したそうで、奥さんと二人暮らしだそうです。と言ってもAさんは高齢になったお母さんを一人だけで生活させておくのが心配で、週のうち3日程度は食事を共にして、寝るのもお母さんが暮らしている実家で寝ているそうです。
 今回の相談はAさんのお母さんについてだそうです。ある日Aさんから電話があって
「澤さん(私の事)、もう大変です。どうしたらいいでしょう」(Aさん)。「え?Aさん、どうしたんですか?」(私)。「実は私のお袋の事で困っています」(Aさん)。「ほう、なんでですか?」(私)と、古い友人のAさんですのでAさんのことは色々と知っていたつもりでしたが、今まで私の知らないAさんのお母さんのことで悩んでいるとのことでした。細かく聞いてみると次のようなことでした。
 Aさんのお母さんは、兎に角色々なことに口を出したがる、そしてそこにはAさんのお母さんご自身の意見というか思いを全面に出して、ご自身の思いを主張しご自身の思った通りにしたい気持ちが表れている。Aさんの意見やAさんの奥さんの言ったことに対しては、それを受け入れるどころか、必ずAさんのお母さんの意見を主張してきて、AさんやAさんの奥さんの意見にかぶせて「いや、私は〇〇だと思う」という主張を曲げようとしません。挙句、「まあ、私はそう思うけど、あなたたちがそう思うのならそれでいいじゃない」と、投げやり口調で言い出すそうです。この時Aさんはお母さんと話していて胃のあたりがギュギュっとなって、とても「・・・うーん」な思いをしたそうです。
 Aさん、というよりもAさんの奥さんは、クルマの運転をやらなくなったお母さんに対して普段から「買い物に行きたい時には言ってくれれば車で連れて行ってあげるから」と言っているそうなのですが、ある時お母さんが「バスで買い物に行ったから疲れて翌日はベッドから起きられなかった」と言ったそうです。それを聞いた奥さんは「え!疲れた・・って、買い物に行きたい時には言ってねって言っていたのに・・・」とショックだったそうです。単にお母さんが息子夫婦に手間をかけさせないように頑張ってバスで買い物に行ってきたということであれば、奥さんも「そう、大変だったね、お疲れ様です」で済むと思うのですが、「疲れて翌日はベッドから起きられなかった」などと言われると、そりゃ奥さんも可哀そうですよね。嫌みかななんて思うこともあったそうです。
 またある時はAさんがお母さんに小言を言ったことがあったそうです。お母さんは兎に角何でもやってみようという気持ちが強いらしいのですが、何かをやった後はあまりお構いなしのようで、「庭の草むしりをするのはいいと思うけど、草をむしった後の片づけもやったほうがいいと思うよ。その時はいた靴下が作業用の靴にかけたままだし、鎌やシャベルはそのまま玄関先に放ってあった」と言うと、お母さんは「疲れて動きたくなかったから」と言うそうです。Aさんはお母さんに対して「やろうとする気持ちはいいと思うけど、体力の事もあるのだから、やろうとすることの半分までできたらそこでやめて後片付けをしてゆっくりすればいいでしょ。そうすれば翌日に疲れてベッドから起きられないなんてことにはならないと思うよ」と言ったそうです。そうするとお母さんは、「まあ、あんたも分かる時が来るから」とAさんに言ったそうです。Aさんはその場ではそれ以上は言わなかったそうですが、「分かる分からんではなく、まず俺の言ったことを受け止めてくれればいいのに」と、心の中で思ったそうです。

 Aさんの相談を聞いていると、別にそんな大したことではないと思いました。年寄りが我が儘になっていくのはある意味当たり前のようなことですし、Aさんのお母さんは昔から気が強い人だったそうですので、自分の意見を通そうとするのも無理もないと思いますし、歳を取って体力がなくなっていますので、何かをやって体が疲れたら、「もう動きたくない」となるのもそうかもしれないなと分かります。でもAさんとしては、「自分の親なのになんできちんとやってくれないんだ、自分の親なのになんでわかってくれないんだ、なんで俺のいうことを聞いてくれないんだ」と思ってしまうようなのです。私にはこのAさんの気持ちも分かります。私はAさんにどう答えようか考えました。考えるだけではなかなかいい答えが出てきませんでしたので、ググったりもしました。
 ・・・ありました、いい答えがありました。
 ある日私はAさんと次のような会話をしました。「子供叱るな来た道だ、年寄り笑うな行く道だ」という言葉があることは知っていると思うが、Aさんはこの言葉の本当の意味を知らないのではないか。この言葉は結構有名だし色々なところで聞く機会があるため、言葉の意味を深く考えないで音で言葉を聞いているのではないかと思う。特に今回の相談にも関連するが「年寄り笑うな行く道だ」という部分に関しては、単に「誰でも年を取ったらそうなる」と理解していると思うが、実はそうではないんだよ。この言葉は「誰でも」年を取ったらと解釈していては理解できないんだよ。「誰でも」ではなく「あなた」、「自分自身」が歳を取った時のことを思い浮かべたら、この言葉の意味が、そしてAさんのお母さんに対する気持ちが変わると思うよ、と言いました。
 このことは真宗大谷派の高科修師という偉いお坊さんが動画で言っていたことをそのままAさんに伝えたのです。「子供叱るな来た道だ、年寄り笑うな行く道だという言葉」はそのまま聞いていると「ふーん、まあ確かにそうだな」だけで終わってしまいますが、「子供叱るな来た道だ、年寄り笑うな行く道だ」に「我が」を付けたらとても理解できるとのことでした。つまり、「子供叱るな我が来た道だ、年寄り笑うな我が行く道だ」となると、「ふーん、まあ確かにそうだな」ではなく「うんうん、その通りだと思う」となります。私もそうでした。今回私はAさんから相談を受けてから初めてこの動画を観ました。本当に「うんうん」となりました。
 Aさん、あなたのお母さんであってもお母さんであるだけでなく、大変なお年寄りです。体もお口もお達者だそうですが、やっぱりとてもお婆さんです。あなたのお母さんはあなたも行く年寄りも道を歩いておられます。理解してあげましょう。

 はい、久々にAさんからの相談を受けて一緒に考えてみました。「子供叱るな来た道だ、年寄り笑うな行く道だ」、いい言葉ですね。それでは次回も乞うご期待です。さようなら。
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