2024年2月26日週:なんとなくうれしくなった話

 みなさんこんにちは。暖かくなったと思ったらまた真冬に逆戻り。本当に大変ですね。

今回は、前々回前回に続いて主人が乗り物の中で遭遇した出来事です。今回は何年か前に主人が羽田発鳥取行きの飛行機(ANA299便)に乗った時の話です。今回も主人に書いてもらいました。それではごゆっくりお楽しみください()

 

◆相談に乗ってくれない?だめなの・・・

 と聞こえてきました。

 その日は前日からの寒波のため日本海側は大雪に見舞われており、鳥取空港も大雪になっていました。皆さんご存知ないかもしれませんが、鳥取もよく雪が積もります。私が子供の頃には降り積もった雪と屋根からずり落ちた雪で軒先まで雪が盛り上がったこともありました。昔は平野部でも1m積もることは珍しくありませんでした。

 大雪の除雪が間に合わなかったのでしょうか、その日の鳥取行き朝1便は欠航になっていました。当時東京で単身赴任生活を送っていた私は所用のため鳥取に帰る必要があり、羽田1915分発鳥取行きANA299便の、後ろから2列目廊下側の席に座っていました。事前に座席の埋まり具合をチェックした時には私の横の席は空席だったのですが、欠航になった便の乗客が振替で搭乗になったのでしょうか、私が着席して少ししたら30代半ばくらいの若いお母さんと小学生1年生?くらいの女の子とその下の弟らしき男の子2人の都合4人の家族連れが乗り込んできました。

 急遽便を振り替えたためだと思うのですが、家族全員が固まって座ることができず、私の横の席(窓側と通路側に挟まれた真ん中の席)にもその家族のうち誰かが座ることになったようです。残りの3(お母さんと男の子2人の兄弟)は通路を隔てた3席に座る事になったようなのですが、お母さんが1番上のお姉ちゃんに「・・・相談に乗ってくれない?だめなの・・・」と言っているようでした。特に気にしていなかったため、なんのことかよく分からなかったのですが、お母さんと弟たちはお母さんの顔が見える席に、1番上のお姉ちゃんは私の横に座ることになったようです。そこで、お姉ちゃんが少しだけ駄々をこねていたために「相談に・・・」となったようです。

 

◆セーラームーンがお好き

 小学1年生と思しき1番上のお姉ちゃんは、お母さんと同じ柄のワンピースを着ていました。見た目は小さな女の子なのですが、長女のプライド(子供じみた服は嫌?)なのでしょうか、それともお母さんの子育て方針(一人前として扱う?)なのでしょうか、それとも節約(お母さんの自家製?)のためでしょうか、お母さんと同じ柄のワンピースを来た姿は、少しだけ大人びて見えました。

 そのお姉ちゃんが私の横(ちなみにその反対側の窓側の席には20代後半くらいのスーツを着たサラリーマン風の若者が座っていました)に座ったお姉ちゃんは落ち着かない様子で、体も硬くなっているように見えました。

 飛行機が離陸するかしないかと言うところで、いつもの私の悪い(今回は良い?)癖が出てしまい、このお姉ちゃんのことが放っておけなくなってしまいました。そりゃそうですよね、いくらお姉ちゃんでもまだまだ小さい女の子です。お母さんにくっついて居たいはずです。

 

 私は左手を伸ばして、お姉ちゃんの座席の前にあるモニタにタッチしてビデオのメニューを出してあげました。お姉ちゃんが怖がらないようにほんの少しだけお姉ちゃんの顔を見ながら。そして、苦労してアニメのメニューを探し出して、「どれがいい?」とアイコンタクトで聞いてみました。すると、あまり反応がありません。まあ、それはそうですね。いくらマスクをしているとはいえ、見た目は決して優しいおじさんには見えない私です(本当はとても優しいのに・・・)。そこで、サザエさん、ドラえもん、その他いろいろあったビデオメニューの中からドラえもんを選んであげました。勿論その時に私はそのお姉ちゃんの前に私の右手親指を立てて「いいね!」サインを送ることを忘れませんでした。

 私はホッとして自分の前のモニタでゴルフのレッスンビデオを観ていたのですが、しばらくしてふと横を見るとそのお姉ちゃんは自分でモニタを操ることを覚えたらしく、セーラームーンを観ていました。私は「あれ?そっち?」と思いつつも、1秒で納得して「まあ、良かった良かった」と独りごちて(独り言のこと)いました。

 それからまたしばらくするとそのお姉ちゃんは、今度はサザエさんを観ていました・・・。まあ、色々なことに興味がある年頃ですからセーラームーンでもドラえもんでもサザエさんでもなんでも良いです。兎に角、寂しさと緊張感の混じった可哀想な感じから、足を前後にルンルンさせながらビデオを楽しんでいるのを感じて私も嬉しくなりました。

 

◆その後は

 何分か、それとも10分か20分かは分かりませんが、お姉ちゃんがビデオを楽しんでいる時、急に「ガクン」となりました。飛行機に乗っているとよくあるやつで、気流の悪いところを飛んでいると突然揺れたり、急に高度が落ちたりするあれです。するとお姉ちゃんは怖かったのでしょう。自分の両側の手すりをギュッと握りしめて、それだけでは足らずに握りしめた両側の手すりに腕と肘を押し付けて体を硬くしています。その時私は、「大丈夫、大丈夫」と、声ではなく両手をパーにして手のひらを下に向けてゆっくりと下ろして上げてをしました。この頃になると自分の子供か孫のように感じて・・・少し大袈裟ですね・・・このお姉ちゃんがとても気になっていました。私の反対側の窓側席に座ったサラリーマン風の若者もあれこれと話しかけていました。

 機内サービスのためにCAさんが来た時にも、お姉ちゃんは首を横に振っていましたが、私がCAさんに「ジュースをあげて」とお願いをしました。まあこれは斜め後ろの席に座っていたお母さんから、「ありがとうございます。でも、飲めませんので」(アレルギー?)NGをくらいましたのでお姉ちゃんは何も飲みませんでしたが()

 

 飛行機が鳥取コナン空港に到着しましたので、私はそのお姉ちゃんに口ではなく手でバイバイをして、あとは何もなかったかのようにラゲッジラックからサムソナイトのキャリケースを取り出して降りようとしました。と、その時にお姉ちゃんのお母さんが私の背中から小さな声で「ありがとうございました」と言ってくれました。

・・・ちょっとだけホンワカしてちょっとだけ嬉しかったです。

 

 それでは次回も乞うご期待です。さようなら。
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