2024年8月5日週:オリンピック柔道の判定で

 みなさんこんにちは。

 盛り上がっていますね、オリンピック。前回大会の東京オリンピックはコロナの影響で2021年開催でしたから、前回から3年しか経っていません。「お、結構早いな、なんか得した気分」という感じですね()。オリンピックはスポーツの祭典というだけあってお祭りムード満載で良いですね。サッカーやラグビーのワールドカップも盛り上がりますが、やっぱり種目の多さ、参加人数の多さ、各会場での観衆の多さ、テレビ放映の多さは単一種目での開催とは違いますね(・・あ、別にサッカーやラグビーがオリンピックに劣ると言っているわけではありません。サッカー、ラグビーも素晴らしいと思いますよ)。それと、テレビの中継もオリンピック独特の高揚感を演出したようなアナウンサーの喋り方や画面のところどころに映る五輪マークがオリンピックならではの特別感を演出しているようにも思います。いずれにしても811日の閉会式までオリンピックの雰囲気を楽しみたいと思います。

 ところでみなさんはオリンピックの中ではどの競技を楽しんでおられますか?やっぱり陸上?マラソンですか?100メートルですか?それともスター選手の多いバレーボールですか?或いは昔お家芸と言われた体操ですか?・・やっぱりオリンピックは色々な種目がありますので「これだけ」というのは難しいですよね。私は、少し縁があることやオリンピックが始まってすぐにオリンピックの興奮を共有させてくれる柔道が好きです。柔道はいつも開会式が終わってすぐ開催されます。しかも日本のお家芸と言われるだけあって、選手層も厚く、参加選手はみなさんもの凄く強いですよね。そしてみなさん活躍されます。観ていて楽しいですし気持ちがいいですよね。

 女子48㎏級の角田夏実選手、凄かったですよね。初戦から準々決勝までの3試合連続の一本勝ち、準決勝は反則勝ちとは言っても試合は角田選手がコントロールしていて、相手選手は何もできなかった感じです。決勝のモンゴル選手にも得意の巴投げで技ありを奪って勝利しました、凄いです。

 同じ日に行われた男子60㎏級も観ていたのですが、日本期待の・・というか同階級の髙藤直寿選手を破ってオリンピック代表の座を手にしたのですから期待の選手です・・永山竜樹は、周囲の期待が大きかったせいでしょうか、それとも初めてで憧れの、待ちに待ったオリンピックの舞台で緊張していたのでしょうか、唇の色は真っ白でした。なんとなくですが、どこか硬さというかぎこちなさも感じられました。シード選のため2回戦からの出場ですが、その初戦の2回戦はやっぱり緊張のためか有効な技で決めることができず、延長戦(ゴールデンスコア方式)で相手選手の指導3個による反則負けで勝ちを拾いました。

 そして、続く3回戦、準々決勝で疑惑の判定が起こりました。相手はスペインのフランシスコ・ガルリゴス選手です。ガルゴリス選手は永山選手を寝技に持ち込み、一瞬のスキをついて絞め技を掛けました・・細かい内容はテレビの再放送やTVerアプリ等で観ていただくとして・・。永山選手はガルゴリス選手の絞め技を完璧に防いでいました。そして、審判の「待て」の声。柔道日本のコーチ陣、観客席の永山選手応援団、そしてテレビの前で観ている私たちもその瞬間ホッとしました。

 ちょっと話は逸れますが、絞め技というのはほんの一瞬で相手の意識を失わせてしまいます。私もかけられたことがありますが「あっ」という間の「あ」も出ないうちにカクンとなります(落ちてしまいます)。しかも、ちょっと言い方が変ですが、その瞬間は気持ちよく感じてしまっています・・いや、おかしいですね、誤解されてしまってはいけませんので訂正します。気持ちがいいのではありません。なんといえば良いのでしょう、フワっというか、スーっというか・・難しいですね。ただ、痛くも痒くもないのは事実です。「あっ」という間の「あ」も出ないうちに意識がなくなります。

 その絞め技、しかも相手はオリンピック選手ですから並の絞め技ではなく物凄く強烈な絞め技です。それを何秒も凌いでいたのです。そこに主審の「待て!」の声です。コーチよりも観客よりもテレビ前の私たちよりも永山選手自身がホッとしたのではと思います。そして永山選手は、ガルゴリス選手が審判の「待て」の指示に従い絞める手を緩めると思ったと思うのです。で、永山選手はそれまで首の筋肉をいっぱいに緊張させ落とされるのを防いでいたところ、審判の「待て」の声を聴いて緊張を緩めました。そうしたら、ガルゴリス選手は審判の「待て」はなかったかのように占め続けました、その間6秒、6秒です。永山選手は落ちてしまいました、気を失ってしまいました。

 私は素人ですので審判の誤審があったのでは?(ガルゴリ選手の指示違反による反則負け・・)とか、ガルゴリス選手はフェアじゃないのではないかとか言うつもりはありません。ただ、なんだかスッキリしませんでした。「えー!今主審は待てって言ったじゃないか、なんで絞め続けていたんだ!!」と。当の永山選手はもっとスッキリしていなかったようで主審の判定後5分も試合場でアピールを繰り返していました。でも判定は覆りませんでした。何事もなかったかのように次の試合にと進んでいきました。永山選手は悔しかったと思います。とても悔しかったと思います。「金メダルを目指してここまで一生懸命やってきたのに、なんなんだこの判定は」と(たぶん)

 でもここからが永山選手は普通の選手ではありませんでした。いったんは悔しさから萎えかけていた自身の心と気持ちと体を奮い立たせ、敗者復活戦にと臨みました、「応援してくれたみんなのためにも手ぶらで帰るわけにはいかない」と。そこからは凄かったです。初戦、2戦目で唇が白かった選手が、ピンクの唇で嘘のように積極的に攻めて、積極的に技をかけて、積極的に試合を進めていました。世界ランキング1位の台湾の楊勇緯選手には大外落としで、最後の3位決定戦ではトルコのサリー・イルディス選手には技あり2本の合わせ一本で勝利しました。本当に初戦、2戦目とは別人のように技が決まっていました。本当に別人のように強かったです。凄かったです。永山選手、おめでとうございます。

 

 3位決定戦後「気を抜いた自分が悪かった」と永山選手は語っていました。この一言は凄く重いと思います。私のような凡人は「あれは審判が悪い」とか、「ガルゴリス選手はフェアじゃない」と言い続けると思うのですが、自身の一瞬の気の緩みが今回のことを起こしてしまったと言っているのです。これはスポーツ選手としてスポーツマンシップにのっとったとても清々しい一言であると同時に、一人の武道家としての言葉だと思います。葉隠れの有名な一説に「武士道とは死ぬことと見つけたり」というのがあります。死(負け)を恐れて消極的になるのではなく、自ら前に出て死地を(負け)を切り抜けるという意味です(ざっくり)。永山選手は今回の事で柔道家としてこの武士としての道を悟ったのではないかと思います。本当にお疲れ様でした。

 

 はい、今回はオリンピックを観ていて素晴らしいと感じたことを書きました。

 それでは次回も乞うご期待です。さようなら。

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