みなさんこんにちは。先日ある会合に行ってきました。その時、「うーん・・」というあまりよくないことありました。いろいろ考えました。また今度このことは書きたいと思います。
ところで「人間万事塞翁が馬」という諺をご存知ですか?あまりご存じでない方のために以下簡単に書いてみますね。昔中国に塞翁さんというおじいさんがいました。ある日塞翁さんは自身が飼っていた馬に逃げられてしまいました。塞翁さんは悲しんでいました。悲しんでいるとその逃げた馬が足の速い良い馬を連れて帰ってきました。塞翁さんは喜びました。するとまた別のある日、塞翁さんの息子が逃げた馬が連れ帰った足の速い馬に乗っていると馬から落ちて大けがをしてしまいました。塞翁さんは悲しみました。そうこうしていると、戦争が始まりました。塞翁さんの周りの若い男たちは戦争に出征するよう要請されみんな戦争に行きました。ところが塞翁さんの息子は大けがをしていたため出征要請は来ませんでした。塞翁さんの息子は戦争に行かなくて済み命拾いしました。
「人間万事塞翁が馬」という諺は、不幸かと思うと幸せが来て幸せだと思うとまた不幸になるかもしれないということで、その都度喜んだり悲しんだりしないでその時その時をしっかりと受け止めなさいという意味です(・・・たぶん)。
先日私もこれと同じような体験をしました。ちょっと聞いてください。
今はそれほどでもありませんが、少し前までは鳥取県では毎日毎日かんかん照りの日が続いていました。で、ほぼ毎日猛暑日の35度超えです。本当に暑かったです。暑いだけならエアコンもありますしなんとか我慢できるのですが、雨が降ってくれません。かれこれ1ヶ月半くらい雨が降っていませんでした。好天の空が恨めしかったです。前回も書きましたが、うちは魚屋ですが米も作っています。ご存知の方もいらっしゃると思うのですが、サイトでも米を販売しています。5kg2,970円です。全国的な米不足で全国平均が4,000円を大きく超えた時もこの値段のままでした。お陰様で全国のお客様からご注文をいただき、令和6年産米は売り切れになってしまいました。ということでしつこいですが米も販売しています。10月には令和7年産米ができあがると思います。みなさま今しばらくお待ち下さいませ。
・・・と、宣伝っぽく書いてしまいましたが・・・実は米がヤバイです。先にも書きましたがつい先日まで雨が降ってくれませんでした。雨が降らないと稲が育ってくれません、それどころか枯れてしまいます。稲が枯れると当然ですが、コメが収穫できません。米が収穫できないとうちのサイトで販売ができません。つまり、みなさまのお口に届きません。大変なことです。でも、「お天道様よろしくお願いします」と前回号のコラムで書いた通り天の神様にお願いを・・・なんてことはしません。
決して神様を蔑(ないがし)ろにするわけではないのですが、やはり雨が降るのを待つだけでなく、ただ手を拱(こまね)いているだけではなく、自分でできることを自分で何かをやらなければということで、できることを探してやってみることにしました。
・・・
はい、ここからが私の経験した人間万事塞翁が馬の始まりです(・・・ここまで長かった。ごめんなさい)。
その日漁港の市場(競り)が休みのため時間があった私は、朝から田の用水路の水位が上がっていないか、つまり田んぼに水が引き入れられないか確認するために田んぼに行ってみました。でも残念ながら前日、前々日と同じく用水路は、特に用水路の上流(川上)は流れる水もなく淀んだ水があるだけでした。うちの田んぼに流れ入る支流の堰(せき)を全開にしてもこちら側には流れてきそうにありません。恨めしげにその堰板を後にして我が家の田んぼの前に行った時です、なぜか我が用水路の下流(川下)が上流よりも水位が高いのです。上流側は10cm程度なのですが下流側は25cmくらいありました。その時私閃きました。「これくらい(25cmくらい)あればうちの小型ポンプでも田んぼに水を汲み入れることができるのではないか」と。
あ、この小型ポンプはトラクタの洗浄用でとても田んぼに水を汲み入れるほどのキャパ(揚力)はありません。1分間にせいぜい50Lがいいとこです。今回水を入れたい田んぼは少なくとも水が40m3(立方メートル)、40トン必要です。計算上小型ポンプでは13時間が必要です。小型ポンプの燃料タンクは1時間程度しか持ちません、つまり12回給油が必要です。でも、何もしないよりはマシかもしれない、というか何かをしなければと、その小型ポンプで田んぼに水を引き入れることにしました。思った通り25cmの水位があればポンプのストレーナ(吸水管の先っぽ)がしっかりと水に浸かり給水できました。その時私は「ヤッター!!やったー!!水を入れられる」と吐き出しのホースを引っ張っていきました。本当に嬉しかったです。
・・・すると、ググッという重みを感じました。え?と後ろを振り返ってみると用水路の上側に置いてあった小型ポンプが用水路の中に落ちて行きました。本当にスローモーションの映像を見ているようにゆっくりを落ちていきました。「ゲゲー!!ヤバい!!エンジン回っているのに水に落ちた・・・」。驚きというよりショックでした。「なんで!!」でした。でも、感傷に浸る間もなく用水路に飛んでいきポンプを拾い上げました。「ううーどうしよう・・・」と、改めてショックを感じながら、「うちに帰ってなんとかしてみよう」と一応の工具類が揃っているうちの作業場を目指して軽トラを走らせました。この時は本当にショックで悲しかったです。
すると、ピロピロピロピロとスマホの呼び出し音がしました。「〇〇の□□です」と近所のホームセンターからでした。聞いてみると注文しておいた田んぼの給水用ポンプが部品含めて入荷と動作確認が終わったため引き取りに来て欲しいとのこと。「おー!やったー!!」とトラクタ洗浄用の小型ポンプを用水路に落としたことも忘れて、嬉しさのあまり声に出してしまいました。まさに救世主という感じで嬉しかったです。
早速ホームセンターで給水用ポンプを受け取って、その足で田んぼに向かいました。なんとかポンプを設置し田んぼに水を引き入れることに成功しました。小型ポンプと違って勢いが違いました。ドドドーっと水が田んぼに入っていきました。とても安心しました。そして嬉しかったです。
とりあえずほっと一息ということでうちに帰って昼ごはんを食べることにしました。その後田んぼに行ってみると、ポンプ運転開始後2時間は経っていたのですが、水は田んぼの1/3程度しか汲み入れられていませんでした。ポンプのパワーに期待していたのに・・・ショックでした。
その後、田んぼと家を3往復し確認をしながら待っていたのですが、結局田んぼを水で満タンにするのに6時間もかかってしまいました。恐らくですが、私が給水用ポンプの能力ぎりぎりを使って給水をすると途中で何かあってはいけないと思い、結構ゆっくりめで給水をしていたため想定の3倍の時間がかかったのだと思います。まあそれでもお陰様で、通常は粘土か羊羹(ようかん)の硬さでなければならない田んぼの土が、カチカチのコンクリートのような状態になってしまったところに、ようやく水を入れてやることができました。本当にホッとしました。本当に嬉しかったです。
田んぼの水入れが終わった後に小型ポンプの修理もできました。こちらは修理の際に余計なことをしてプラグを壊してしまったのですが。まあそれでも、シリンダー(ガソリンが爆発してパワーを得るところ)内もきれいにできてエンジンを復活させポンプを生き返らせることができました。こちらも嬉しかったり悲しかったりしましたがまあ最後は嬉しいほうで終わってよかったです。
・・・この日の最後にふと頭の中に、「人間万事塞翁が馬」という言葉が浮かんできました。塞翁さんもこんな感じで悲しかったり嬉しかったりしたのかなと。でも、たった1日、いえ数時間の間に嬉しかったり悲しかったりが何度もあると疲れます。やっぱり「人間万事塞翁が馬」で言っている通り、その時その時で一喜一憂するよりもきちんとそれを受け止めて、それに必要な対応をとらなければと改めて感じました。
はい。今回はこんな感じです。それでは次回もこうご期待です。さようなら。