2025年10月27日週:ジョーズと熊

 みなさんこんにちは。最近めっきり寒くなってきましたね。ウチでは遂に羽毛布団が出てきました。お陰様で夜はポカポカでぐっすりです。

 さてみなさん、ジョーズ(JAWS)という映画をご存じでしょうか?1975年に公開された人食い鮫とその鮫と戦う警察署長の物語です。公開当時とても話題になった作品です。
 アメリカ東部の海水浴や観光が主な産業の穏やかで小さな島、アミティ島。ある日若い女性が海で行方不明になり、その後損傷した遺体の状態で発見されます。赴任したての警察署長ブロディは調査結果から鮫に襲われた可能性が高いことを突き止めます。そのことからブロディ署長は海岸閉鎖、海水浴禁止をしようとしたのですが、市長のボーンは海岸閉鎖をすると夏の観光収入が激減するため猛反対。そうこうしているうちに2人目の被害者が出てしまい、鮫に懸賞金をかけようとする被害者の遺族が出てくるまでになってしまいます。そんな中ハンターにより1匹の大きな鮫が捕らえられたため、ボーン市長たちは独立記念日に大勢の海水浴客を集めて祝日を楽しんでいました。するとその大勢の前で少年が鮫に襲われてなくなってしまいました。ハンターが捕らえた鮫は人を襲った人喰い鮫ではなかったのです。ブロディ署長、海洋学者のフーパー、鮫狩りのプロであるクイントの3人が、人を襲った鮫を捕らえに、クイントの船オルカ号で出港しました。明るいうちに鮫が海上に姿を現したときに3人はその大きさに驚きました。体長約8m体重3トンはある巨大なホウジロザメでした。
 夜中に鮫の攻撃を受けたオルカ号は水漏れで・・・と、ここまで細かく書く必要はなかったのですが、ついつい面白くなって私の頭の中で流れるジョーズの映像をもとに文字にしてしまいました。ジョーズという映画が、観る人に何を伝えたかったかは別として、この場で私がみなさんに言いたかったのは、猛獣・・魚を猛獣と言っていいかどうかわかりませんが、猛獣の前には人間は全くの無力だということです。ジョーズが海の生き物で人間と比べて海の中で動くスピードがどうとか、歯がぎざぎざの刃のようになっていてかまれたらひとたまりもないとか、獰猛な性質は殺人マシーンそのもので一度狙った獲物は最後までとかそんなのは別にして、本当に人間は自然の前では無力だと思います。

 と、ジョーズと同じようなことが、いえそれよりももっとひどいことが日本中で起きています。日本中と言っては大げさかもしれませんが、北海道、東北だけでなく、新潟や長野でも「熊」による死亡事件がおきています。なんと2025年は全国で9人も犠牲者が出ています(※)。人数で比較することはできませんししてはいけませんが、データとしては2024年の3人の犠牲者(※)と比較しても今年の9人は物凄く異常であることがわかると思ます。(※:2025年10月22日朝日新聞デジタルより)
 ジョーズはホウジロザメという鮫、魚ですので海の中に入らなければ被害には遭わなくて済むと思うのですが、日本の熊事件は、普通に生活しているときに起きてしまっています。北海道の新聞配達員の方が襲われた事件では民家の玄関前で熊に遭遇してしまったということですし、岩手県の温泉施設にある露天風呂を掃除していた方が被害に遭われた事件では、建物内というか、掃除をしていた露天風呂の中に熊が入ってきて襲われてしまい、そのまま森の中に引きずられて行ったそうです。この施設は露天風呂と外との境目に塀を設置していたそうですが、熊は塀の隙間から被害者をめがけて侵入してきたそうです。そこには多くの血痕が残っていたそうです。

 ところでみなさん、前の秋田県知事の佐竹さんという方をご存じだと思います。熊を駆除したことへの抗議電話に対し「お前のところにクマ送る」と言ったというあの佐竹さんです。この方が、熊被害に遭った方と会ってきたそうです。その時の様子がヤフーニュースに載っていました。ちょっと見てみてください(みなさんに正しく伝わるように原文そのままを載せますね)。

 「顔面をやられるでしょ。仮に助かっても本当に人生が変わっちゃう。目をやられることも多いし、仕事もできなくなる。今の医療技術でも原形には戻らない。女性なんかもう外にも出られなくなっちゃう。本当にむごいもんですよ。食われた遺体なんか、人間の形をしてないんだから。見れたもんじゃないし、葬る方だって惨めですよ。生きたまま食われるなんて、こんなに怖くて惨めなことはない。あらゆる事故の中でも最も悲惨な亡くなり方をする。国には本当に、そういう想像力を持ってもらいたい」(2025年10月23日ヤフーニュースより)

 どうですみなさん、ニュースで「クマに襲われた」とか「山に連れ去られた」と聞いただけではとてもここまでのことだったとは想像できないですよね。でも、これが現実なのです。・・私も実際に見たわけではありませんので偉そうにはいえませんが、でも現実なのです。ある意味映画のジョーズより悲惨で恐ろしくて物凄いことです。

 どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。ずっと以前は里山という緩衝地帯があって、それを境にして人間の住むところと熊の住むところは明確に分かれていたが、今はそれがなくなってしまった。そのために熊が人間の住むところに出てきやすくなったというようなことがいわれていますが、本当にそうなのでしょうか。以前もコラムで同じようなことを書きましたが、私の住む田舎町でも熊出没情報があります。里山があったかどうかは別として、ずっと昔から人の住むところは変わっていません。でも、以前はなかった熊出没があります。
 ではどうして熊は人間の住む地域にまで出てきたのでしょうか?個体というか熊の数が増えすぎて、山も熊が過密状態になったため食糧がなくなって人が生活するところまで降りてきているということなのでしょうか?うん、これはこれでありそうですよね。でも、熊のベビーラッシュというか出産が多い年というのは周期的に来るそうですので、個体が多くなったのは今年だけではなさそうです。ということは熊の数が増えたことが原因ではなさそうですよね。
 では何故でしょう?ひょっとすると人が住んでいるところに行けば簡単に食べ物が手に入ることを覚えてしまったのでしょうか?熊はとても記憶力が良い生き物と言われています。簡単に食べられる美味しいものがある場所はずっと覚えているそうです。生ごみの収集所とか庭先のカキの木とか。
 サメの記憶力がいいかどうかはわかりませんが、ジョーズにも「サメはここを餌場、狩場と認識してしまった。餌がなくなるまっでここを離れない」というシーンがありました(こんな感じだったと思います。間違っていたらごめんなさい)。今日本中で起きている熊被害、特に食害に遭った被害では熊がジョーズと同じように思っているのではないかと思います・・・本当かどうかは別として、少なくとも今年の熊被害のうち何件かは頷けるような感じですよね。

 ではどうすればいいのでしょうか? ジョーズの中での答えは簡単です。やっつければいいんです。退治すればいいんです。熊でいえば駆除すればいいんです。ブロディ署長がやったように鉄砲で打てばいいんです。・・・でも熊の場合はそれほど単純ではないですよね。これほど増えた熊を、人間の住んでいるところに出てきている熊を全て駆除するなんてとても難しいことです。それにそれだけの猟師さんがいませんし。
 うーん・・・・・・やっぱり先ほどヤフーニュースで出てきた佐竹さんの言葉の通り国が対策を立てるべきなんです。人が熊に怪我をさせられたり殺されたりしないように。国は緊急銃猟という仕組み?を作って早めに駆除できるようにしたり、鉄砲を撃てる猟師さんを増やすように狩猟免許取得の支援を行ったりと様々なことに取り組んでいますが、でも今この現状にはあまり意味がありません。
 今すぐ役に立つ対策、熊が出てこないようにする対策、或いは出てきても人間に危害を加えないようにする対策。ないですね。ただ、熊用スプレーを無料で配布するとかは出来そうですよね。そして、そのスプレーの使い方講習会を学校や会社や各地区の自治会や、何だったら老人会でもやって住民みんなが熊スプレーの達人になる。そうすれば熊が来ても今の何倍も安心ですよね。そうやって人間は怖いものだということを熊にも思い出してもらっていったら、そのうち熊も人の住むところには降りてこなくなるのではないかと思います。「バカバカしい」と言われるかもしれませんが、即効性のある対策と言えばこれくらいしかないのではないかと思います。真面目に思います。そうすれば私たち人間の命を守る行動と熊の命を奪わない行動、その両方を守ることになるような気がします。
 ただ、熊スプレーの達人になってもイザという時に本当にその達人の技が出せるのかどうかという問題が残ります。ということはやっぱり、生ごみを置かないとか熊のえさになるような柿の木とかを切るとか通常言われていることを守りながら熊に注意して熊スプレーの達人を目指すということでしょうか。
 あ、国や自治体によるスプレー配布はいい案だと思うのですが・・・。

 はい、ちょっと冗談みたいな落ちですが結構まじめに考えました。それでは次回も乞うご期待です。さようなら。

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