みなさんこんにちは。ニュースでチラッと言っていましたが、東京赤坂で起きた女性シンガー刺傷事件の容疑者は自衛官だそうですね。Oさんという2等陸曹の方だそうです。2等陸曹というのは陸上自衛隊の兵隊さんを束ねる曹という階級で一番上の陸曹長から2個下の階級だそうです。因みに陸曹長の上は3等陸尉と言って幹部と称される方々ですので、兵隊さんの階級でいうと結構な上の階級に当たるそうです。そんな兵隊さんを束ねる階級の人が女性に暴力を振るう・・どころか刺傷させるだなんてとんでもないことですよね。
容疑者の方は否認しているそうですが、もし本当に犯人だったら本当にとんでもない話です。自衛隊の中での階級もそうですが、自衛隊員というのは、何かの本で読んだことがありますが、とても崇高な精神で任務を遂行しているそうです。日本を守る、日本の国を守る、日本人を守るという純粋な気持ちで日々頑張っているそうです。厳しい訓練を頑張って、災害派遣にも行って、熊の駆除にまで駆り出されてと本当に頭が下がる思いです。なのになんでそんなことになってしまったのでしょうか。よほどのことがあったのでしょうが、あってはならないことです。
ところでみなさん、「父母恩重経」というものをご存じでしょうか?このコラムでもチラッと書いたことがあると思いますのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。これは父母の恩はとてもありがたく深いものでこれに報いなさいということが書かれたお経だそうです。まあ、親の恩に報いるのは当たり前と言えば当たり前なのですが・・。
小説 宮本武蔵 空の巻にこの父母恩重経について書かれたところがあります。私は中学校の時に初めて宮本武蔵を読んだのですが、この部分を読むとなんだか鼻の奥がツンとなるような感覚になったのを思い出します。ちょっとだけその部分を書いてみますね。・・あ、原文をそのまま載せると著作権違反になりますので、それなりに書きます。
・・・ならず者達が博打を売ったり酒を飲んでワイワイやっているところで、博打に負けた連中がごろ寝をしている一画がありました。そこで寝ていた兄貴分の懐から落ちた経文を見た下っ端が「兄貴これは何だい?」と尋ねたら「これは本位田の婆様(宮本武蔵の幼馴染 本位田又八の母親で村を出た又八を追って国中を旅していました。武蔵とはいろいろ因縁がありますが細かいことはいつかどこかで書きます)が写経したもので・・」と下っ端が見てみるとカナまで振ってあったため暇つぶしに声を出して読んだそうです。
仏説父母恩重経――かくの如くわれ聞けり ある時、ほとけ 王舎城の耆闍崛山中に・・・父に慈恩あり 母に悲恩あり そのゆえは 人のこの世に生るるは 宿業を因とし 父母を縁とせり・・・母の懐を寝処とし 母の膝を遊び場とし 母の乳を食物となし 母の情けを生命となす 母にあらざれば、着ず脱がず 母飢えに中る時も 哺めるを吐きて子に啗らわしめ 母にあらざれば養われず その闌車を離るるに及べば十指の爪の中に 子の不浄を食らう・・・父母の恩重きこと 天の極まり無きがごとし・・・と読んでいくと、読んでいた下っ端は涙を流しながら「俺はもう読めない」と行ったそうです。
・・・と、あまり感動が伝わってきませんね。やはり著作権に引っかからないように書くとそんなものなのでしょうか。私が初めてこの部分を読んだときは本当に父母の恩が頭の中と心の中に響いて何か凄い感覚になったのを覚えています。まあ、とにかく言いたいのは親の、特に母親の恩というのはとても強くとても深くとてもありがたいものということです。で、父母恩重経ではその恩に報いなさいということが書いてあります。
母親というと最近二人の母親が世間を騒がせました。その母親のうち一人は、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也被告の母親と呼ばれる人です。この人、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の熱烈信者~~というよりもある新聞記事には「のめりこんで」と書いてありました~~だそうです。被告が小学生の頃に入信したそうで、献金の総額は1億円を超えたということだそうです。みなさんご存じかもしれませんが、日本のサラリーマンの生涯賃金は2億3千万円くらいだそうですので、サラリーマンが一生で稼ぐ給料の半分近くの1億円をこの母親と呼ばれる人は貢いだそうです。亡くなった旦那さんの保険金や遺産とか色々、兎に角何でもかんでも献金したそうです。結果、母親は自己破産して家庭は滅茶苦茶になったそうです。そのため、被告は世界平和統一家庭連合を恨むようになり、その挙句安倍晋三元首相が世界平和統一家庭連合と深いつながりがあると思い込んでしまい、2022年7月8日の事件を起こしてしまったということです。
ここまで書くだけで山上被告の母親と呼ばれている人が、強く、深く、ありがたい恩を被告に与えているとは思えません。それどころか、小学生の被告に可哀そうな思いをさせて、惨めな思いをさせて、辛い思いをさせてと、全くの赤の他人の私でさえも心に「うっ」と何かを感じてしまいます。決して被告の起こした事件は許されるものではありません。でも、この母親と呼ばれる人が宗教にのめりこまなければ、異常な額の献金をしなければこんな事件は起きなかったのではないかと思います。自身が信じる宗教を信仰していても、親の恩、母親の恩、それを感じることができていれば、被告はこんな誤った手段で宗教への復讐をすることはなかったのではないかと思います。
そして、この母親と呼ばれる人は、今回の裁判で法廷に出廷して、その場で「今までお詫びの言葉は言っていませんが、今初めてお詫びの言葉を述べます」と言ってから、自身の息子が犯した罪に対する謝罪の言葉を述べたそうです。このことを聞いても母親と呼ばれる人が被告に対して慈しむ心を持っていなかったことが分かります。とんでもない事件を起こした被告ですが、被告の母親と呼ばれる人がしてきたことを考えると少し同情してしまいます。
もう一人の母親は、タイ人少女のお母さんです。この方の場合はお母さんが世間の耳目を集めたということではなく、12歳のタイ人少女の方ですね。この少女はお母さんに言われて東京文京区の個室マッサージ店で性的サービスをさせられていたそうです。みなさんもそうだと思うのですが、このニュースを聞いたときは本当に驚きましたよね。12歳の少女に母親が性的サービスをさせるために子供を店に引き渡して自分は飛行機に乗って出国してしまったそうです。しかもその時この少女は「お母さんの言うことを聞かないと怒られる」と言ったという話も週刊誌に載っていたそうです。タイという国は仏教国で90%以上の国民が仏教を信仰しているそうですので(日本は人口の2/3だそうですので、物凄い仏教国ですね)、それこそ父母恩重経の教えをそのまま実践しているのだろうな、と勝手に思っています。
このお母さん、ご自身でも男性に対するサービスを行って生きる糧を得ているそうです。そしてこの一家はお母さんの働きで暮らしているそうです。つまりお母さんが男性にサービスを行うことで、家族の暮らしを支え、子供を学校に行かせて、自身の親にもご飯を食べさせているそうなんです。一家の大黒柱として男性へのサービスを仕事としてやっていた(いる?)そうなんです。そんなお母さんは自身の仕事を探して台湾に行ったそうですが、台湾では仕事が見つからず少女を連れて日本に来たそうです。そして、個室マッサージ店に少女を連れて行き男性にサービスをするように伝えたそうです。
私、この話を聞いて最初は「なんていう親だろう」と思いました。自身が男性へのサービスをするのは職業として行っておりそれはそれでありなのかもしれないですが、子供に、しかも12歳の少女にそんなことを強いるというはとんでもないと思っていました。ですが、よく考えてみるとこのお母さんは自身の仕事もままならず、借金をしてタイから出国してきたのにその借金すら返せない、ついには飛行機代もなくなって、やむなく、泣く泣く12歳の娘にそういうことをするように言ったのではないかと思うようになりました。実際にはどうなのかはわかりません。でも、本当にやむなく、泣く泣く言ったとしてもおかしくはないと思うのです。自分ひとりで家族の生活を支えてきて、自分ひとりでしんどい思いをしてきて、自分ひとりで歯を食いしばって頑張ってきたのに、とうとう仕事がなくなってしまった。それで娘がそんなことをするのは嫌であろうことは分かってはいても、それでもそうせざるを得なかったということなのではないかと思うのです。それをわかっているから少女は嫌と言わないで、親の恩に報いるために2か月間頑張ったのではないかと思います。辛くても歯を食いしばって頑張ったのではないかと思います。
今回ニュースで二人の母親の姿を見て、親の恩という言葉の重さについて改めて考えさせられました。みなさんも何かを感じられたのではないかと思います・・・。
それでは次回も乞うご期待です。さようなら。