2025年2月24日週:焼きガニ作ってみました

 みなさんこんにちは。先週に引き続き今週(2月17日週)も寒波到来で、海もシケで、漁師さんはなかなか漁に出港できないようでした(25日からは寒波はいなくなるそうですが、結構大変でした)。大きめの船だと多少の波風でも出港できるようですが、鳥取県網代港に所属する底引き網漁の漁船の大きさはよくわかりませんが(・・90から100トンクラスだったような・・)、先週の寒波、時化の真っ最中の時は港に停泊していましたのでやはりそれだけ強烈な波と風だったのだと思います。少し前に網代港に所属する漁船の船長さんで船頭さんに聞いたことがあるのですが、波風が強くて出港できないのではなく、波風が強いと船は航行することが出来ても、人(漁師さん)が立っていられなくてどうしようもないから出港出来ないということでした。ということはやっぱり大きめの船でないと時化の時は沖に出られないということなのでしょうね。
 ・・・ちょっと面白いことを思い出しました。この話を船頭さんに聞いた時の会話です。鳥取岩美弁の漁師言葉で教えてくれるのですが、この漁師言葉がとてもユニークで少し微笑ましい感じがしましたのでちょっとご紹介しますね。その時はきつめの風が吹いている漁港の突堤で互いに風に吹かれながらの会話です。
 「これだけ強いと船もダメ(航行できない)でしょうね」(私)
 「なーに、船は何たらへんわゃぁな」※船はどうってことはないよ(船頭さん)
 「ん?」(私)
 「船は何たらへんけど、人がいけんがな」※船はどうってことはないけど人間が(立っていられないから)だめだ(船頭さん)
 みなさん、分かります?伝わりました?なんか微笑ましいでしょ。ということで今回は、うちで初めて焼きガニを作って食べてみたことをお伝えしたいと思います。

◆きっかけ
 実は私のところでは、家庭でも店の販売用としても焼きガニというものを作ったことがありません。カニ料理の専門店では食べたことがあるのですが、その時はそれほど美味しいとも思わなかったため、焼きガニというものに対して特に何も思っていませんでした。ところが何故か今回はそうなってしまいました。
 その日私は、いつものように配達が終わってからカニの水槽を見に行きました。今うちの水槽には若松葉ガニが数匹(数枚)と松葉ガニが数匹(数杯?数枚?)がいます。少し前までは水槽は結構賑やかだったのですが、賑やかだったカニたちは一足先にお客様のお腹の中に納まってしまいました。そのため、追加の注文に備えて先日の競りの際に活きの良い若松葉ガニを競り落としてきました。それと、お客様から注文で小ぶりですが上物の松葉ガニ(生きてます)を競り落としてきました。
 カニたちはお客様のお腹の中に納まるのはいつの日かなと待っています。その待っている松葉ガニが元気にしているかな?と水槽をのぞき込んでみました。人口密度(カニ密度?)が低いせいかゆったりとのんびりしているように見えたのですが、底の方にいる若松葉ガニの1匹が1点を見つめてじっとしています。しっかりとカニの気をつけをしていました(って、どんな格好でしょうかね?足を両側に広げて前を向いて上体を起こしている格好です:汗)。・・・でもどこか不自然さを感じた私は、軍手をはめた手に更に長手袋をして水槽に手を突っ込んでそのカニを持ち上げてみました。するとやっぱり、気をつけをしていたはずの10本の指は重力のされるがままに下にだらんと垂れ下がっていました。
 よく死んだふりをするカニもいますので、もう一度水槽に戻してみましたが。すると、ざわざわと指を動かして自分の居場所に戻ろうとします。「なんだやっぱりちゃんと生きてるんだ」と作業場から出ようとしましたが、でもなぜか気になってもう一度そのカニを引き上げて作業場のシンクに仰向けにしておきました。しばらくして見てみたらピクリとも動かなくなっていました。結局弱って死ぬ直前だったようです。通常カニは死んでしまったらすぐに茹でないと味が落ちていきます。でも、その日は週の初めだったこともありお客様にお送りすることが出来ず、かといって捨てるのもとても勿体ないためとりあえず家に持って帰ることにしました。
◆焼きガニを作ってみよう!
 と、家内が言いました。
 家内は料理が好きで(勿論、食べるのも好きです)色々な料理を作ってくれます。お正月のお節料理は普通に作ってくれます。変わった料理も得意・・?です。ボルシチというのはロシアの家庭料理ですがこれを上手にこしらえてくれます。私はレストランでボルシチを食べたことがありませんので本場の味は分かりませんが、家内のボルシチは美味しいです。他には、アヒージョです。アヒージョなどという料理は夏のカリフォルニアの海辺で汗をかきながらビール片手に食べるものだと思っていましたので、そんな料理がうちの食卓に並ぶなどとは思ってもいませんでした。ところが家内の手にかかると、普通の家庭料理のようにテーブルに並びます。しかも日本人の私が食べても普通に美味しいです。
 そんな家内が焼きガニを作ってみようというのですから、多分焼きガニになってテーブルに乗っかってくるとは思っていましたが、私にはその作り方が想像できませんでした。確かカニの専門料理店では七輪的なものの上に網を敷いてその上にカニの指や腹の部分を置いて、焼き上がるのをじっと待っていたと思います。・・・思いだしました。焼きガニに対してあまり魅力を感じなかった理由です。それは焼き上がるまでにかなりの時間が必要で待っているのが大変だったからでした。ところが家内は焼きガニを作る時には「今から作るよ」などと野暮なことは言いません。黙って、キッチンの片隅で作っており気が付いたら「できたよ」でした。そうそう、今回の焼きガニは店の作業場ではなく自宅キッチンで作ってくれました。

◆あ、美味しいね!
 と、家内の一言。
 以前焼きガニを食べた時にはそれほど美味しいと思った記憶はないのですが、今回食べた焼きガニは本当に美味しかったです。先に書いた通り、松葉ガニではなく若松葉ガニの方ですので身の詰まりは若干松葉ガニに劣ります。でもなぜかしっかりと身の詰まりを感じられ、且つ若松葉ガニ独特の瑞々しさはそのまま残っていて、尚且つ特に何か味付けをしたわけでもないのですが、適度な塩味とその塩味が引き立てた甘さと最後に口の中に残る旨味、とでもいうのでしょうかこの三位一体の美味しさが口中に広がり、「あの時食べた焼きガニは何だったんだろう」と思うくらい、本当に美味しかったです。
 ミソも最高でした。茹で松葉ガニのミソを食べた時にも勿論美味しさは感じますが茹でとはまた少し違った味わいが堪りませんでした。なんというのでしょうか、茹でガニのミソは、それはそれで美味しいのです。甘くてしっかりとカニの風味があって美味しいのですが、焼きガニの場合はそれがもっと強烈に自己主張しているんです。バターみたいとまでは言いませんが、ミソ自体がトロっとして濃厚で塩味も効いていてスプーンで掬って一口舐めてみると「なんだこれ!今まで食べたカニ味噌とは全然違う!」と思わず熱燗のお猪口を口に運んでいました。本当に美味しかったです。
 あ、今回私は焼きガニを熱燗チビチビで食べたのですが、恐らくですが、暖かい部屋でよく冷えたビールをグイッとやりながらでも合うと思いますし、勿論熱燗にもしっかり合いました。焼酎のお湯割り・・だけでなく水割りでもロックでもハイボールでも何にでも合うと思います。しっかりと塩味が効いていましたのでお酒全般何でも行けると思います。勿論、お酒ではなくただ口で食べてもご飯で食べても合うと思います。それくらい美味しかったです。

◆最後に
 美味しいのはわかったから作り方を教えてくれ、ですか?はい、分かりました。作り方は簡単です。フライパンにカニを置いて蓋をして・・・。なのですが、どうせ作り方をお伝えするのであればきちんとしたレシピとしてお伝えした方がいいと思いますので、今度タイミングの良い時に写真付きでお知らせしたいと思います。その時までどうぞ楽しみにお待ちください。

 はい、ということで今回は私が自宅で食べた焼きガニに感動したお話でした。私ばっかり美味しくてごめんなさい(笑)
 それでは次回も乞うご期待です。さようなら。

 

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