2025年2月3日週:横綱昇進・・・機が熟したから?

 みなさんこんにちは。2月になってしまいました。2月といえば、節分、立春、恵方巻、あとはバレンタインデーくらいですかね、イベント的なものは。まあいずれにしても2月になってしまいました。ということは1年365日のうち31日、12分の1が終わったということです。ついこの間までお屠蘇気分に浸っていたと思ったらあっという間に1月は過ぎてしまいました。今年の目標達成に向けもうそろそろエンジン全開で突っ走りましょう!・・・え?目標立ててないって・・・今からでも遅くありません。目標を立てましょう、そうしないと何もしないうちに1年が終わってしまいます。目標は大切です。目標を立てましょう。ゴールを持ちましょう。 

◆序盤
 さて、今回のテーマはある力士の横綱昇進から頭に浮かんできたことです。ある力士とは言わずと知れた大相撲大関の豊昇龍関のことです。相撲に興味のない方でもテレビのニュース速報で流れるくらいですからご存じだと思うのですが(・・・相撲には興味ない?あ、失礼しました。でもまあ折角ですから最後まで読んでみてください・・・汗)、去る1月29日(水)に大相撲大関の豊昇龍関が横綱に昇進しました。先場所令和6年11月の九州場所で東大関の琴櫻関と千秋楽に13勝1敗通しの相星(あいぼし)決戦が行われ、惜しくも優勝を逃した豊昇龍は大相撲横砂審議委員会(横審)の規定である「優勝もしくはそれに準ずる成績」を残したということで、今場所令和7年1月の初場所に横綱挑戦をしていました。
 豊昇龍は序盤5日目までで1敗、中日8日目までで2敗、10日目までには3敗を喫してしまいました。しかもその3敗とも小結、関脇、大関の3役力士ではない平幕(ひらまく)力士に敗れての3敗です。普通の横綱挑戦では3敗を喫した時点で限りなくアウトに近い状態だと思います。しかもその3敗が3役力士ではない平幕力士から喫したものです。横審規定にあるように優勝かそれに準ずる成績を残すことが出来れば良いとは言うものの、横綱は心技体すべてを兼ねそろえた力士の手本になるお相撲さんでないとなれません。中でも体、その強さは他の力士を圧倒するものでなければなりません。その圧倒的な強さを持っていなければなれない横綱挑戦者が平幕力士に3敗するというのは、大相撲中継のテレビ解説者舞の海さんも、やっぱりちょっとありえないということでした。
 ところが、ところがです、その3敗を喫してからというものは、豊昇龍は人が変わったみたいに強くなっていっていました。12日目の金峰山戦はそれを象徴していました。12日朝の時点で金峰山は1敗で優勝争いの単独トップを守っていました。番付は西前頭14枚目で幕内では下位の力士ですが、とはいうものの身長は195㎝、体重は180㎏でバランスの取れた体形をしています。そして、その長身を生かしたのど輪(相手の喉元を手で下から上に反り上げる技)はとても強烈です。そのためか学生相撲時代、現在では西大関、金峰山よりかなり上位である大の里(中村選手)がなかなか勝てなかった相手だったそうです。そんな金峰山ののど輪を、豊昇龍は上体をのけぞらせながらも喉元にある金峰山の手を手繰り寄せながら体をかわして両手をばったりと土俵につかせてしまいました。さすが大関といった相撲でした。

◆優勝
 それからも豊昇龍の快進撃・・・というのとは少し違いますね、悪鬼のごとく形相で、気迫で相手を飲み込んでしまい、矢継ぎ早に繰り出される手わざ足わざ体わざで最後には土俵に勝ち残っているそんな相撲、あ、快進撃ですね・・・で勝ち星を重ねていきました。それまで平幕力士に3敗を喫してしまっていた豊昇龍とは全くの別人のようでした。別人になった豊昇龍には運も味方してくれたようで、それまで優勝戦線トップの金峰山とは12日目の直接対決の結果、1敗差まで迫ってはいましたが、既に対戦は終わっているため誰かが金峰山に勝ってくれないと豊昇龍には優勝の芽はありませんでした。その芽が開いたのは同じく3敗で豊昇龍と同じく優勝戦線2番手につけていた王鵬のおかげです。この王鵬という力士は昭和の大横綱大鵬の孫で、お父さんも元大相撲関脇の貴闘力です。貴闘力は不幸にして賭博事件で力士を廃業してしまいましたが、その強さ、気の強さ、相手に向かっていく気迫は物凄いものがありました。千秋楽に2敗金峰山と相対した3敗王鵬は気迫満点の相撲で金峰山を押し出して、豊昇龍、王鵬と同じ3敗まで引き釣り落としました。
 千秋楽のあった1月26日(日)の夕方までは、恐らくですが相撲ファンの多くの方は金峰山がこのまま優勝してしまうのだろうと思っていたと思います。それが、王鵬の気迫あふれる相撲で2敗力士がいなくなり、豊昇龍が琴櫻を寄り切りで破って豊昇龍、王鵬、金峰山による巴戦になってしまったのです。その巴戦も豊昇龍の、何度も言いますが気迫、気迫、気迫が勝り一度も負けることなく2連勝して優勝を決めました。嬉しかったのでしょうね、優勝した瞬間、豊昇龍の顔は涙が溢れそうになるのを堪えているのが画面からも分かりました。

◆頑張れ豊昇龍
 ここまで来て言うのは少し変ですが、実は私、豊昇龍という力士があまり好きになれませんでした。それは豊昇龍と顔がそっくりで豊昇龍の叔父にあたる朝青龍のイメージがあまり良くなかったからです。朝青龍は第68代横綱で25回も優勝していて、笑うと愛嬌があるのですが、所属する高砂部屋では親方をないがしろにして、素行も悪く、相撲界の仕来りもないがしろにして、力士廃業後でも先輩力士を馬鹿にするなどで、伝統を重んじる相撲界の異端児的な存在でした。やっぱり私も好きにはなれませんでした。朝青龍の土俵は、横綱が下位の力士と対戦するのではなく喧嘩でもするような、そんな雰囲気を漂わせながら土俵に上がっていました。豊昇龍は顔もそうですが、雰囲気といい、土俵上での仕草といい、相手への目線といい朝青龍を彷彿とさせるものがありました。で、やっぱり豊昇龍は好きにはなれませんでした。
 ところが、優勝後の勝利者インタビューや部屋に戻ってからのマスコミへの対応を見ていると、叔父さんである朝青龍とは違うのでは?と思いました。横綱推挙が決まった後のインタビューでは「(昇進伝達式の口上は)親方と相談して決めましたので楽しみにしていてください」ととても人懐こそうな笑顔で答えていたり、立浪親方とのインタビューでは、親方の顔を見ながら「こんな痩せた私(当時は物凄くヒョロヒョロだったようです:澤)を入門させてくれて本当に感謝しています」と感謝の言葉を述べたり、それよりなにより、さらに高見を目指して励むというあの姿勢にはとても共感を得ました。ひょっとするとこんな風に感じたのは私だけではないかもしれません。ひょっとするとあのインタビューを観ていて多くの相撲ファンが豊昇龍を応援しようという気持ちになったかもしれません。頑張れ豊昇龍!

◆機が熟するということ
 昨年の7月29日週に「機が熟するということ」というタイトルで、物事には何かがそうなる時には、必ずそうなるようになっている、機が熟するということはそういうことだと思うということをお伝えしたと思います。今回の豊昇龍の横綱昇進はまさに気が熟した、その時が来たから、平幕に3敗を喫していながらも、優勝争いのトップとは2敗もついていても、3人での巴戦になっても、横綱になれる心技体を兼ねそろえているから全てを乗り越えられたのではないかと思います。
 本当のことを言うと、私は昨年11月の九州場所で優勝した琴櫻を応援していました。お爺さんは鳥取県出身の名横綱である初代琴櫻です。鳥取では場所開催中は毎日テレビで2代目琴櫻の応援のため取り組み詳細や応援メッセージが流れていました。私も鳥取の相撲ファンとしてぜひ横綱になってほしいと応援していました。ところが、結果は5勝10敗の負け越しです。この時改めて機が熟するということを感じました。今回綱取りに挑戦した琴櫻は、まだその時ではなかったということです。まだまだ稽古して修行して心技体をさらに高め、横綱にふさわしいものになった時に当たり前のように勝ち星を重ね横綱になるのだろうと思います。その時は必ず来ると思います。頑張れ琴櫻!

 はい、大相撲をよくご存じではない方には少しつまらなかったかもしれませんね。 
 それでは次回も乞うご期待です。さようなら。
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