みなさんこんにちは。お盆が終わったというのになんでこんなに暑いのでしょうか。昔はお盆を過ぎると朝晩がひんやりとして過ごしやすい気候になりましたが、今はお盆過ぎだろうと何だろうと関係なしに太陽はギラギラで刺すように痛い日光を照りつけてきます。8月も終盤に入ったのだから太陽も少しは遠慮すればいいのに・・・。
そうそう、皆さん聞いてください。先日私の住む村(本当は岩美町といって立派な「町」ですが・・)で、熊の目撃情報がありました。ある日、防災無線で、「役場農林水産課より」というおじいさんの声で放送が始まりました。内容は「岩美町○○地内で熊の目撃情報があった」「熊は夕方、未明に活動が活発化するから注意を」「各家庭では戸外に熊の餌となるような食糧、生ごみを置かないように」という注意喚起でした。
まあ、これまでも熊の目撃情報がなかったわけではありませんのでそれほど驚くことではないと思ったのです。ところが、なんとその目撃情報があった場所というのがうちから500mほどの所で、そこには地域の交流センターがあります。それだけでなく小学校、保育園もあります。今は夏休みのため小学校には生徒さん達はいませんが、交流センターには職員さんもいますし利用者もいます。それだけでなく保育園には園児さんや保育士の先生たちもいます。そんな場所に熊がいるなんて、これまでであればとても考えられません。念のために書きますが、うちは港から歩いてすぐのところにありますのでクマ出没現場は山の中ではありません。
うちではその放送があった晩は戸外にある生ごみ処理機を使うのをやめました。万が一熊が来たら大変ですので。熊が寄ってこないように用心していても寝るときには不安で仕方なかったです。ひょっとして何か庭先で物音がしないかヒヤヒヤしていました。そのヒヤヒヤのせいだと思うのですが、夜中12時過ぎに目が覚めました。その時「キュー」という動物が息をひそめて呼吸音を小さくしているような音が聞こえてきました。「な、なんだ!熊がそこ(庭)にいるのか!!」と本当にビックリしてビビッて「ど、どうしよう」と固まってしまいました。あ、因みに奥さんはぐっすり夢の中です。・・・結論から言うと、その音は熊とは違う別の音で私の臆病心が熊の呼吸音に聞こえさせてしまったのですが、兎に角ビビりました。
私が何故これほどまでに熊に恐怖を感じるかというと、熊の恐ろしさを知っているからです。私自身は熊と遭ったこともなければ、勿論襲われたこともありません。でも、熊の攻撃力、破壊力、人間を食べ物と思った時の執拗さを知っているからです。最近テレビやラジオ、新聞で報道されている熊関連の事件ではサラッとしか触れませんが、最近の熊は人間を恐れません。それどころか人間を食べ物と思っている熊さえいます。
みなさんスーパーKという言葉をご存じでしょうか。今から10年位前ですが、秋田県男鹿市でタケノコ狩りに出かけたお年寄りの方が何人か熊の被害に遭った事件をご存じだと思います。この時被害に遭われた方は、あまり文字にしたくありませんので分かり難く書きますが、熊にかじられていたそうです。最初に犠牲になられた方はそれほどでもなかったそうですが、2番目、特に3番目の犠牲者の方はかじられた損傷が激しかったそうです。この時の熊がスーパーKです。最終的にはこのスーパーKは猟師さんに駆除されたそうですが、駆除されたスーパーKの胃袋から人間の体の一部が見つかったということです。・・・被害に遭われた方、そのご家族の方には心よりご冥福をお祈りいたします。
スーパーKの事件は10年前のことですが、こんなに前ではなくつい先日も事件が起きてしまいました。皆さんご存じですが北海道の羅臼岳でのヒグマ事件です。この事件もスーパーKの事件と同じく、いや、ひょっとするとこの事件よりももっと口と目を覆いたくなるような事件かもしれません。
羅臼岳の事件はスーパーKの事件と違って目撃者が居たため、より詳細に事件発生時の状況が報道されたのだと思います。その状況詳細というのは本当に涙が出そうになるほど衝撃的です。被害者の方、仮にAさんとします。Aさんは友人(Bさん)と二人で羅臼岳に登山に行ったそうです。その下山途中AさんはBさんより200m後ろを歩いていたそうです。突然AさんがBさんに「助けて!」と叫んだそうです。その声を聞いたBさんは慌ててAさんのところに駆けつけていったのですが、その時Aさんは熊(ヒグマ)に茂みの中にズルズルと引きずられていったそうです。Bさんは熊の恐ろしさも顧みず「クマを素手で殴った」そうです。ですが熊はAさんを茂みに引きずり込んでいったそうです。その後、Aさんは下半身を激しくかじられて亡くなっていたそうです・・・本当は報道されているようにもっと詳細に書きたいのですが、そして熊の恐ろしさを知ってほしいのですが、・・・亡くなられた方、亡くなられた方のご遺族のことを考えると詳細には書けません。
まだあります。今年(2025年)7月12日未明のことです。北海道福島町で新聞配達員の方が民家の玄関前でヒグマに襲われました。この事件も新聞、テレビ、ラジオで大々的に報じられましたのでご存じの方もいらっしゃると思うのですが、熊は新聞配達員の方(Cさん)と出くわして驚いたため危害を加えたのではないのです。熊はCさんをかじるために襲ったのだそうです。襲われた現場の民家の方が言うには、棒で叩いてもひるむことなくCさんを加えて100m離れた笹やぶに引きずり込んで行ったそうです。そしてCさんもかじられて亡くなっていたそうです。
少し話が逸れますが、熊というのはもの凄く力が強いんです。映像で見たことがありますが、自分より大きな鹿を、しかもまだ生きていて抵抗する鹿を茂みの中に引きずり込んで行くんです。鹿の首のところにかみついて鹿が暴れても全く意に介さないでズルズルと引き込んで行きます。ものすごく力が強いです。
ついでですのでもう少し。よく報道番組でアナウンサーが「体長1.5mのヒグマが」とか「体長1mのツキノワグマが」と言っていると思うのですが、体長が1.5mとか1mと聞くと「なーんだ、俺より小さいじゃん」と思ってしまう方が多いと思うのですが、というか殆どの方は「自分の身長より小さい」と感じると思うのです。でも、違うんです。この体長というのは熊が四つん這いになった時の頭からお尻までの長さのことです。ということは身長1.5mの人が横になって長さの頭と胴体ということです。この熊が立つと体長1.5mの場合2m以上に、体長1mの場合1.5m近くになるようです。・・・体長1.5mは凄さが伝わりますが、1mは伝わらないですね。では体重で行きましょう。体長1.5mのヒグマは大きなものでは250㎏にもなるそうです。体長1mのツキノワグマでも大きなものでは120㎏にもなるそうです。つまり、体長1.5mのヒグマの場合立ち上がった身長が2m超で体重250㎏の全身筋肉に覆われ牙と爪という武器を持った猛獣ということになります。ツキノワグマにしてもそうです。身長は1.5mほどかもしれませんが体重120kgの筋肉の塊で、こちらも強い牙と長い爪を持った俊敏な猛獣ということです。どうです、これを聞いたら途端に怖くなりませんか?
熊の被害というのは昔からあります。例えば、1915(大正4)年に起きた北海道苫前村三毛別六線沢事件です。この事件は、7人の犠牲者と3名の重傷者という多くの被害者を出してしまった大変な事件で、「熊嵐」という小説にもなるほど有名なものでした。少し大袈裟っぽく言うと、熊1頭に開拓村をつぶされかけたということですので。他にも1923(大正12)年に起きた北海道石狩沼田幌新事件(お祭りからの帰宅途中にヒグマに襲われ4名の方が亡くなられました)、1970(昭和45)年、福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件(北海道日高山で福岡大学の学生さん3名が亡くなられました)、他にもまだまだあります。
ずっと昔から最近まで被害が出続けています。よくよく考えてみると、原因は同じようなことでおきているのではないのかと思います。それは食べ物です。1915年、1925年の事件でも食べ物が不足している状況若しくは冬眠できず食糧がない状況だったために起きているようですし、1970年の事件ではキャンプ中に熊がワンダーフォーゲル部員の食糧を見つけて「自分のモノ」と認識したためそれを持って去っていった部員をしつこく追いかけて危害を加えたということですので。
ここでちょっとした疑問が。一般的には熊は人間のことを怖いと思っていると言われています。山に入るときにクマよけの鈴を持っていくとか、ラジオの音を出して人間がいることを分からせるとか。ところが、最近の熊は人を怖がらないと思うのです。人間に危害を加える熊は勿論、冒頭に書いた私の村の目撃情報に上がった熊も人を怖がらないで人が居るところに出てきます。これって何なのでしょう。ひょっとして何年、何十年(もっと?)の間に熊が「人間って武器を持ってなかったら全然弱いじゃん」と悟ってしまったのでしょうか。
よく森林の開発が進んで熊の生息地が狭くなったからではないか?とか言われますが、少なくともうちの村ではそんなことはないと思います。何十年も前から村(人間の住むところ)と里山(動物の住むところと人間の住むところの緩衝地帯)と山(動物の住むところ)はあります。ひょっとして人間が怖いとか怖くないとかではなく、若くて好奇心旺盛な熊が好奇心だけで村に降りてきて、「別に人間怖くないじゃん」と認識してそのまま大人になって、その熊の子供は遺伝子の中に「人間怖くない」を持っているから生まれつき人間は怖くないとわかっている、とか。・・・これ結構あり得ますよね。
まあ、いずれにしても人間を怖がらない熊が増えてきていることは事実だと思います。ですので、今度は人間が熊から自分たちを守る術(すべ)を持たなければいけないのではないかと思います。何といっても相手は120㎏とか250㎏の全身筋肉の塊で牙や爪という武器も持っている猛獣ですから。ではどうやって身を守ればよいのでしょうか。・・・分かりません。武器を持つのが一番手っ取り早いと思うのですが、武器を持ったからと言っていざという時に正しくその武器が使えるとも限りません。ということはやっぱり身を守るというよりも熊と遭遇しないようにすればよいということですね。やはり熊には山に帰ってもらい人間はどうしてもという時以外は山に立ち入らない、入るのであればそれなりの覚悟と武器を持っていくとか。そんなことができるかどうかはわかりませんが、少なくとも熊と遭わなければ熊に襲われることもないわけですから。どうやったらそんなことができるのでしょう・・・考えましょう。きっと何か良い手がある筈です。
はい、今回はうちの村の熊目撃情報からちょっと考えてみました・・・いつもよりとても長文になってしまいました。ごめんなさい。それでは次回も乞うご期待です。さようなら。