最近の気になる美味しさ

 6月に入ると漁港に揚がる魚の顔ぶれも変わってきます。やっぱり一番目を引くのは貝ですかね。貝と言ってもこちらも色々あります。サザエなんかは有名ですが、イガイなんていうのもあります。フランス料理に出てくるムール貝のような形をしています。この貝は身も美味しいですが出汁を取って吸い物にすると絶品です。お椀のふたを開けた時にフワーっと鼻の周りにまとわりつくあの美味しい香りは堪りません。
 あとはカメの手なんかもいいですね。見た目は名前の通り亀の手のようにちょっとごつい感じがしてとても食べようと思わないような格好をしていますが、食べたらこれがまた美味しいんです。ちょっと苦みがあって、でも噛んでいると甘みというか旨味というか独特の風味があって美味しいんです。ハマってしまうとなかなか抜け出せない感じになります。美味しいです。
 忘れてはいけないのがカキ、岩ガキです。これは広島とかで獲れるマガキとは違って生でそのままパクリと食べられるやつです。プリプリの岩ガキを口一杯に放り込んでガブッと噛んだときに出てくるミルクは堪りませんね。「カレーは飲み物だ」という人がいましたが、岩ガキもそれに近い感じです。それと私が個人的に好きなのは、ミルクだけではなく肉の部分も好きです。噛むと結構な歯ごたえがあって磯の香りが口中に広がっていくあの感覚は、ホント最高です。
 アワビなんかもいいですよね。ゴリゴリの中に甘みや旨味がある刺身もいいですが、私はアワビはステーキ、というかアワビをソテーしたものが好きです。生の時はゴリゴリで歯ごたえという言い方が生易しく思われるようなゴリゴリなのですが、ソテーすると、火を通すとサクッと噛み切れて、でも歯ごたえがないわけではないあの感触。良いですよね。

 イカもいいですよね。網代港でよく揚がるのはシマメイカですね。一般的にはスルメイカと呼ばれています。私個人的にはこのスルメイカという呼び方が好きではありません。何故ならスルメイカというのは、その響きからいかにもスルメ用のイカという感じで安っぽい感が前面に出てしまっていますよね。これってシマメイカさんに失礼だと思うんです。あんな甘くてたくさん旨味があって肉厚で、食べ終わった後の満足感が半端ではないシマメイカさんはそんな安っぽいものではありません。お値段も決して安くありませんし。みなさん、是非シマメイカを食べてみてください。あ、そうそうシマメイカは黒くて光っているものが最高に新鮮です。まあ、刺身用で売られているものは生で食べられると思いますが、一度黒光りしているものを食べてみてください。本当にイカに対する考えが変わりますから。
 イカと言えば白イカも美味しいですよね。一般的には剣先イカとよばれていますが、網代港では白イカです。これも美味しいですよね。シマメイカが剛だとすると白イカは柔です。刺身で食べたらシマメイカはコリコリ感を味わせてくれますが、白イカは柔らかいんですけどそれでいてしっかりと歯ごたえもあって、噛んでいくうちに甘みが口中に広がっていく感じがこれも本当に堪りません。しかもこの白イカは足の部分、いわゆるゲソの部分も刺身で食べられるんです。シマメイカはゲソの部分は刺身で食べるには歯ごたえがありすぎますので、家では茹でてショウガ醤油やワサビ醤油で食べるのですが、白イカは刺身で食べても適度な歯ごたえがあって身よりも甘みがあって(私はそう感じます)、本当に美味しいです。
 イカでいうとアオリイカなんかも美味しいですね。このイカ見た目はちょっと平べったくて無骨な感じがしてとても美味しそうには見えないのですが(…私は味を知っているため美味しそうに見えます、汗)、食べてみるとあっさりとしていて歯ごたえ…うーん、というよりも身の切れって言うんですかね、サクッ、サクッと食べられるあの感覚はちょっと他のイカでは味わえないですね。シマメイカ、白イカも美味しいですが、このアオリイカもおすすめです。私は好きです。
 魚でいくと、アゴ、一般的にはトビウオと言われていますが、これなんかもいいですね。例えば、タイとかブリとか一般的な魚の刺身はパクっと食べてモグモグ噛んで旨味が出てきてゴクンと飲み込んで、「あー美味しい」なのですが、このアゴの刺身は独特のモチモチ感があるんです。いい意味で脂が乗っていない、脂っぽくなくてあっさりしているんですが、でも食感はモチモチなんです。そして脂っぽくなくてもしっかりと旨味があるんです。新鮮ではないアゴは少し生臭さがあるんですが、新鮮なアゴはそれがありません。「モチモチ!旨!」という感じです。是非新鮮なアゴの刺身を召し上がってみてください。